女性の力
四国今治にはタオルメーカーが集中している。中国製品との競争が激化しており、自ら中国に進出している企業もいるが、一方、国内で消費者に近づくことで新たな道を模索している企業もいる。
森清タオルもそのひとつだ。これまでの取引先との摩擦もあるし、新しい事業がどのようになるか分からないこともあってのことと思われるが、とりあえず、子会社でタオルを使った子供向けやペット向けの最終製品を開発し、ネットや自社ショップを開設して販売をはじめた。
WEBを見ると、とても可愛らしい。
実は、子会社は、経営者の奥さんが手がけたのだが、WEBを見るといかにも女性がやっているらしい感性を感じる。女性経営者なので、デザイナーの持ち物などをちらっと見ただけで、あら可愛いとか、素敵だなどと消費者の視点からデザイナーのセンスを評価する目も持っている。そうしたなかから、新しい企画が誕生することもある。
ネットや自社ショップの販売数量は、従来の工場をまわすほど多くないと思われるが、こうしたビジネスをはじめてみると、タオルでこんなことができるなら、当社向けに何か企画提案してくれないかといったOEM(相手先ブランド)の仕事も入ってくるようになった。
また、他産地から講演に来てくれと呼ばれることが増え、他産地で商品化に使える面白い素材を発見することもあった。これまでは、日々の仕事に追われているので、他産地に出かけるなんて、たとえ隣の県でも全くなかったのだ。
こうして、今後日本で生き残っていくには、芽生えてきた方向で進むしかないと判断し、同社は、奥さんがやっていた子会社オルネットに吸収されるかたちで企業統合することになった。
タオル業界に限らないが、これまでは男性の経営者が工場を運営し、問屋も小売もキーマンは男性だった。タオルはギフトの需要が多く、結婚式や病気見舞いのお返しなど義理が多く、誠意のこもった購入のされ方もしてこなかった。
タオルを使う・購入する女性の心をくすぐる商品開発が生産現場でも流通現場でも生まれない仕組みだったのだ。オルネットが女性経営者によって発展してくれることは、女性としても応援したいし、一消費者としても楽しい市場が生まれることになるので嬉しい。
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コメント
ある自動車会社に、こんなソフトな事業をやったらどうですかとすすめたら、ごもっとも、しかし、自動車製造脳では難しいといった。この話は、30年同じ方向に使ってきた脳は、すぐには変わらないことです。やるなら脳を変えること、この話は、奥さんの汚染されてない脳を使ったから成功した話です。
投稿: machida | 2005年6月18日 (土) 19時54分
コメント有難うございます。
30年同じ方向に使ってきた私の脳も変わらないので壁にぶつかっています。
個人の場合にはどうしたらよいのでしょう。
人生にショックがあれば変わるでしょうが、そうでない場合、右から書くのを左から書くとか、逆立ちしてみるとか、脳を変換させるノウハウが欲しいです。
投稿: このみ | 2005年6月18日 (土) 23時12分