一品生産のネック
コンピュータとの連携により、一品生産が可能になったのだが、実はこれにはネックがある。
たとえば、前述の島精機のホールガーメントは素晴らしい機械だが、この機械に習熟し、デザイン画を編むためのソフトに翻訳するのが大変難しい。あるいは、デザイナーがこの機械の特徴を理解し、それを活かしきれるデザインを開発できるかという問題もある。
原理的には個別対応が可能であり、たとえば見本から選んでサイズを自分に合わせるとか、色や柄を変える程度なら簡単だ。しかし、本当の意味でオリジナルな商品を一品生産するには、ソフト開発に時間が掛かってしまう。パリコレに出すような作品ならソフト開発費を掛けられるが、一般の商品では、ある程度の量が捌けないとソフト代金を賄えない。
しかし、逆に量産できるとなった場合には、一枚編むのに時間がかかるので、複数台数持たないと間に合わない。
島精機は、機械メーカーなので、機械を売りその使い方の指導をするが、出来ることはそこまでである。その機械を活かしきれるかどうかは、それを購入したニットメーカーやデザイナーにかかってくる。
島精機は、機械代金が高いので、ニットメーカーに預け(無料で使わせ)、そこが試作・開発したソフトを得るという方法で使い方のノウハウを蓄積しているらしい。ノウハウが蓄積され、デザインをニット化するためのソフトがもっと汎用化すれば、個別対応のバリエーションも広がることになるだろう。
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コメント
この問題の解決は、デザイナーがコンピュータソフトに習熟することです。そうなると、若いデザイナーが躍進し、デザイン業界で下克上が起こるのですね。デザイン業界はどこもそうでしょう。
投稿: machida | 2005年6月18日 (土) 19時49分
コメント有難うございます。
この機械は世界中に売られており、イタリアで使いこなされていると言います。
昔、パンやお饅頭を自動的に作る機械メーカーであるレオンの社長さんが、同じ機械でも、国によって実にいろいろな使われ方をすると言われていました。
島精機の機械も、いろいろな人が多様に使いこなすなかで、おそらく衣服の概念を変えるような斬新なデザインが生まれてくるのだと思います。
投稿: このみ | 2005年6月18日 (土) 23時19分