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2005年6月18日 (土)

ワールドの新戦略

久しくファッション業界から離れていたので知らなかったのだが、ニットの大手ワールドが面白い商売をはじめていた。

ワールドは、これまで自社ブランド商品を扱う専門店(婦人服で3100ほど)を全国に持っていたが、消費者ニーズが多様化し、自社が開発した品揃えだけではこれらの店のニーズを十分満すことができなくなった。このため、2003年秋から、WRS(World Rep System)という卸売りビジネスをはじめた。

販売代理店契約を結んでWRSパートナーになると、ワールドが専門店向けに開催する展示会に出展することができる。代金の回収もワールドが行ってくれる。しかし、小売店との商売は、パートナー企業が責任を持つというものだ。

欧米では、昔からレップという販売代理店があるが、日本の場合商社や問屋など卸売りが中心であった。前者は、販売数量など実績に応じてメーカーからフィーを取るのに対し、後者は、メーカーから商品を仕入れて小売店に販売しマージンを得る。両者にどのような違いがあって、どうして日本ではフィービジネスが発達してこなかったのか未だに疑問なのだが。

欧米では、メーカーとして自立(企画し、素材を仕入れ、製品化)しているのに対し、日本では、メーカーといっても加工のみ担当する工場でしかなかった(企画は問屋が行う、素材を支給されることもある)からかもしれない。

若手のデザイナーやこれまで下請け加工業であったメーカーが自社ブランドを立上げた場合、販路を見出すのが一番のネックであるが、この仕組みを利用すれば、実力さえあれば(商品化~代金回収までの資金繰りは必要)、販路開拓の可能性が開ける。すでに複数のデザイナーや企業がパートナーとして販路開拓に成功しているようだ。

これはファッションの世界のことだが、技術系ベンチャーについても、こうしたレップのような仕組みがあって、優れた技術や製品の販路を開拓しやすくなると良いのだが。

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