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2005年6月 5日 (日)

外資系企業:ボーダフォン

日本の携帯電話のインターネット接続サービスは、「iモード」のように、それぞれの通信キャリアが囲い込みを図る形で発展してきた。このため、コンテンツ・プロバイダーは、それぞれのキャリアごとにコンテンツを作りなおす必要があるし、各社向けにコンテンツを翻訳するサービスを提供している企業も誕生している。

コンテンツ・プロバイダーは、それぞれの通信キャリアの新しい端末発売に向けて、その端末を最も有効に活かせるようなコンテンツを開発してきた。そのために、細かな仕様についての情報を得る必要がある。時には、コンテンツにあわせて、端末の仕様を工夫することもある。

そうした、通信キャリア、端末メーカー、コンテンツ・プロバイダーの密接な情報のやりとりのなかから、端末機能をフルに活用した最先端のコンテンツが生まれ、市場を拡大してきた。

ところが、ボーダフォンの場合には、世界企業であるため、端末の開発は、ドイツなど日本以外の場所にある研究所で行われている。その場合も、全社的な発想で、言い換えれば世界市場を見据えた発想で開発が行われる。

このため、特殊な日本市場のことを特に意識して考えないし、日本のボーダフォンは支社なので、開発に当る部分の情報を詳細には得ていない。そこで、コンテンツ・プロバイダーが問い合わせても、明瞭な答えが返ってこない。

こうしたことが続くと、コンテンツ・プロバイダーの方も、だんだんとボーダフォンを避けるようになる。新しいチャレンジングなコンテンツの開発は、ドコモやauと組もうということになってしまう。

そうなると、次第にボーダフォンの魅力が薄れ、利用者が離れていってしまうだろう。もちろん、日本のボーダフォン担当者は、そうしたことへの危機感があるが、それは世界企業のなかでは無視されがちだ。

欧州が携帯電話でデータ通信を活用しはじめたのは、日本よりも遅れたが、GMSという欧州規格が統一されていることもあり、通信キャリアごとの囲い込みにはなっていない。このため、特殊日本的な状況に注意を払う必要性は感じられないらしい。

確かに、通信のようにネットワークの経済性が働く分野において、囲い込み型よりは、オープン型のほうが良いと思う。しかしながら、日本のように贅沢な市場では、基本的な機能が提供されれば良いだけでなく、非常に趣味的で精緻なコンテンツの提供が求められるのも確かである。

おそらく、ボーダフォンは、こうした日本的な嗜好の利用者からは次第にそっぽを向かれることになるのだろう。もっとも、それはそれで良いことだ。我々利用者は、日本的なサービスとグローバルなサービスとを見比べて、選択する自由を得られることになる。

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