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2005年8月14日 (日)

華々しさと現実性と

第三に、この知的クラスター創成事業は、「知的」というだけあって、国際的に競争力のある研究開発とか、新しいシーズを事業化といったことが意識されているが、ITの場合、それがなかなか難しいことだ。

それぞれの研究は、「ラピッドプロトタイピング」という面で、それぞれ貢献しているけれども、「画期的な発明」というわけではない。

また、外部に事業内容を説明する場合には、組込みの事例として「携帯電話」を取り上げることが多いけれど、これほど開発工数や部品点数が多い複雑な製品をサッポロバレーの企業が自らリスクを負って開発・提案するというのは無理が多いらしい。

確かに、札幌には、携帯電話の「ソフト+基盤」開発を手がけているところはかなり多いと聞く。しかしそれは、札幌エリアでは大手であり、かつ下請けとして受託しているのがほとんどである。多くのサッポロバレーの企業は、もっと部品点数の少ないものを手がけているらしい。

携帯電話は、キャリアブランドで売られ、キャリアごとにメーカーがほぼ固定化されているなかで、メーカーブランドで殴りこみをかけられるなら話は面白い。特に、まもなく番号ポータビリティが導入されるので、キャリアブランド以外のブランドが参入できる可能性もある。ソフトバンクなど新しいキャリアも増える予定だし、中国などアジアの国々で普及率が高まっているので、そちらを狙うことも考えられる。

しかし、現在ヒヤリングした範囲で考えると、体力的に無理そうだ。むしろ、上記のようなチャンスを得て、中国や韓国の企業が参入してくる可能性さえある。

つまり、サッポロバレーのIT企業が一歩進んで下請けから独自に製品開発・提案型に発展するとしても、その製品は、部品点数の小さなものになりそうだ。携帯電話にメーカーとして参入するほどの華々しい話にはなりそうにない。

ラピッドプロトタイピングは、確かに、地域のクラスターにとって一歩前進なのだが、国の補助金を大々的に受けた事業としては、①世界的に優れた研究成果、②大手企業がほっておかない、③大手企業の分野に殴りこみ・・といった華々しさが求められるらしく、そこにギャップがある。

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