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2005年8月14日 (日)

論じるが具体化できない

第二に、ユーザビリティは、確かに重要な分野なのだが、大学の先生は、重要性を論じることはできても、具体的にユーザビリティ評価をやった経験がないことだ。

製品開発するにあたって、当初からユーザビリティを考えておけば、製品が出来てから使いにくいことが分かって作り直すということが減るため、「ラピッドプロトタイピング」になるとして、札幌地区では、これを重視している。

しかし、一口にユーザビリティといっても、自動車もあれば携帯電話もあるし、医療器械もある。もちろん開発にあたって、ユーザビリティを考える必要はあるが、それぞれについて評価項目も評価基準も異なる。被験者をどう集めるかも重要なことだ。

大手企業では、社内でこうしたことをやっているため、自動車メーカーなら自動車についての評価のポイントや尺度など、ノウハウが蓄積されているはずだ。

あるいは、ユーザビリティ評価を仕事としている企業の場合には、過去にさまざまな製品などの評価をしてきた実績からノウハウが蓄積されている。

あと1年半でこの研究プロジェクトを終えなければならないが、今ようやく、被験者をテストしている状況を記録するための道具の仕様書作成に取り掛かったところだ。テストを記録する道具が今年度中に完成したとして、さらに最初は、ある分野・ある製品に絞り込んだとして、評価リストと評価尺度を残り一年で作りきれるのだろうか。偏りの無い被験者を集められるのだろうか。

ところで、これのどこが先端的な研究なのだろうか。

事業を考えた場合、「ラピッドプロトタイピング」のため(製品開発のため)の事業ではなく、せいぜい、既存製品の事後評価(次の開発に対する提案)からやるしかないのではないだろうか。

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