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2005年10月 1日 (土)

電子音に管理されている

ピピピピピっと言う音で目が覚める。

そうだ、今日は、国勢調査表を9:00に取りに来るんだったっけと起き上がり、一応身支度を整える。

すると、ピンポーンという音がなって、調査員の人が来た。

トイレに入っているとチーンと音がする。あれ、なんだっけ。

そうだ、パンをトーストしていたんだ。

朝食をとっていると、ピーンピーんぴーんと何か音がする。ああそうだ、洗濯機をまわしていたんだ、終了したんだな。

食器を片付けながら、冷蔵庫の中身をチェック。いざという時用に日持ちするものを買っているのだけど、つい外食してしまうとあっと言う間に賞味期限が切れている。賞味期限に頼るのもなんだけど、一人暮らしだし、おなかが痛くなるのも嫌なので処分する。

と、ピピッ、ピピッと音がする。冷蔵庫のドアを長めに開けていたので、閉めないとまずいよというお知らせだ。

洗濯物を干していると、チャラららら~と音がする。そうだ、最近パソコンの立ち上がりが遅いので、電源を入れていたんだっけ、ウィンドウズが無事立ち上がったという知らせだ。

と、ことほど左様にさまざまな電子音が私にいろいろなことを気づかせてくれる。

気づかないと確かに困るのだけれど、電子音で追いまくられているような気がしてくる。

昔の剣豪は、眠っていても、ちょっとした気配で、ガバット枕元に置いてある刀をつかんだりする。もっと大昔の人は、風の音やかすかに漂う獣の臭いや雨のニオイでさまざまなことを予知し、リスク管理していた。

だから、何時の世でも、生きていくためには、音やニオイや風に注意を払わなければならないのだろう。

トーストが焼け焦げちゃったり、目が覚めずに調査員の人に失礼してしまったりしないように、センサーと電子音が知らせてくれているのだから、自分で四六時中注意を払って緊張しているより楽だし、失敗が少なくて、ありがたいことなのだろう。

でも、なんだか自分が工場のベルトコンベア上に流れているケーキかなにかのような気がしてくる。

よく練られた生地になって夜寝かせられ、朝9時になったらオーブンに入れられ、焦げないように時間通りに焼きあがられ、ばい菌がつかないように温度管理されたホイップクリームで飾られ、ちょうとよい長さに切られたセロファンを巻かれ、印刷された紙の上に載せられ、そのうえにちょどよい大きさの果物を載せられ、さらに流されて、ケースにつめられ、温度管理されたトラックで流通センターに送られるといったような感じだ。

立ち止まったり、よそ見をしていると、後ろから来るケーキとぶつかって形が壊れて不良品になってしまう。いい気持ちで寝ていると焦げすぎてしまって不良品になってしまう。

ユビキタス社会って、こんなんだったっけ。

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