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2006年1月27日 (金)

多摩ニュータウン永山団地

多摩ニュータウンは、多摩丘陵を開発した新しい町で、八王子市、多摩市、稲城市、町田市にまたがっている。

私が就職したばかりの頃に、長銀もかかわっていたのではないかと思われる。社会調査班のようなものが出来ていて、日下公人さんが班長だった。ここは、都市開発・住宅開発や公害問題などを研究していた。

日下さんが都市開発などにどんなご意見だったのか当時よく知らなかったが、ともかく、新しい大型の団地が郊外に出来るというのは、明るい未来として語られていたように思う。そうだ、確か日下さんは、東京はまだまだ開発できる。鉄道を通せば、その周りが住宅地に変貌するというようなことを言っていたように記憶する。

しかし、35年ほど経って、住んでいる人の高齢化が進み、町が衰退しているというような話を本などで読んでいたので、一度訪問してみたいと思っていたのだ。訪問した永山団地は、そのなかでも、古いほうにあたるらしい。

確かに、当初団地のなかに用意された商店街は、駅前などで買い物をする人が増えたとのことで閉まってしまい、NPOほかに改めて貸しているとのこと。昨日は、八百屋さんのほかは、薬屋、針灸、補聴器屋、リサイクルショップ、NPOがやっている高齢者のたまり場福祉亭、商工会議所がやっているチャレンジショップ(というが、手作り品などの持ち寄りの店のような感じ)、NPO建築Gメン・・といったような店がやっていた。

セイフーのスーパーがあり、ちょっとしたものは、ここで足りそうだが、お世辞にも活気がある商店街とは言いにくい。小学校も統廃合されたとのことだ。

30年後の日本は、どこもかしこもこうなってしまうのだろうか。

NYのオールドタウンの再生などの話を聞いてはいたが(こちらは、貧しい人や外国人が住み着いて荒れてしまった話なので内容は異なる)、日本でも、今後は、こうしたことに取り組んでいかなければならないのだろう。

急行で30分くらいで新宿にいけるのだから、比較的便利な地域ではあるのだが・・。

都市機構は、空き室が出ると、ここをリニューアルしている。リニューアル後の場合、2LDKで8万円弱と手ごろだ。また、段差をなくした高齢者住宅にリニューアルしている住宅もある。これは、所得に応じて、最も低所得だと5.5万円くらいで入居できる。これが却っていけないのかもしれない。これでは、ますます高齢化してしまう。

町全体は、木々が育ち、落ち着いた感じになっている。

しかし、全体的に古いタイプの建物で、セキュリティなどに不安があるとか、緑が多いのが逆に夜道が不安であるなどの理由からか、若い女性や小さな子供のいる若い世帯は余り入ってこない、新たに来るのは男性が多いという。この辺りは、大学も沢山東京からやってきたし、東芝やNECなどの工場も多い。しかし男性が増えるとなると、活性化から遠くなってしまいそうだ(若い女性が多ければ男性もやってくるので・・たぶん)。

同じ多摩ニュータウンでもせせらぎ北団地は、94年に出来たというから比較的新しい団地で、ここでは、98年に設立されたNPO法人FUSION長池の活動で、コミュニティが活性化しているとして有名だ。永山団地でも、前述の福祉亭がいろいろな活動をしているらしいが、まだ道は遠そうだ。傍観していないで、一歩でも踏み出したところが良いといえるけれど。

美しく老いる、老いた人々が住んでいても洒落ていて落ち着いた町、すごい金持ちの年寄りではなくても、普通の暮らしでこうした風にはならないものなのだろうか。高齢者が住んでいるので、美味しくて、洒落たコーヒー店があるとか、古いジャズのレコードが聴けるとか、お袋の味の食堂があるなど。若者があこがれたり、懐かしがって訪れるような町にはならないものだろうか。

・・・高齢者が住むと、薄汚い、そら寂しい・・と感じてしまうのは、文化度の浅さなのだろうか。日本の高齢者は、年金もあるので、そう苦しいとは限らない。問題は、いきいきした目と張りのある表情を持てるかどうかだ。それは、文化でもあるし、役に立つことでもあるし、これを仕組みとしてどう作り上げるか。・・・これは、政策課題だ。

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