« 国の底力と創造都市 | トップページ | web2.0とロングテール »

2006年3月26日 (日)

経験経済

今、前に書いた「休日に経営書を読む会」の次の本である『新訳・経験経済』を読んでいます。

最初「経験経済」って何のことだろうと思いましたが、要は、感動や思い出を与えることによって、付加価値の高いビジネスができる、単にモノを作って販売するのではなく、感動や思い出を与えるようにするにはどうしたら良いかが書かれています。

この本は、1998年に書かれたもののようです。

実は、私は、1998年にそれまでの社内レポート2冊分をまとめて『新しい時代の儲け方-ニュービジネス成功の秘訣』という本を出しました。「儲け方」はどぎつくて嫌だなぁと思ったのですが、出版社の営業からの意見でこうなったそうです。英語では、The Secret of Success in Starting a New Businessというタイトルになっています(英訳されたのではなく、編集者が日本語のタイトルとはニュアンスを変えてつけてくれました)。

思い出話はさておき、このなかでも、これからは「感動を呼び起こす仕掛けが必要」という章を書いています。また、「需要者のエージェントになる」として、愛情代行業などについても書いています。

でも、今読み返してみると、上記の愛情代行業(結婚プロデュース業のワタベ)やディズニーランド、京都のくろちく、伊勢のおかげ横丁、金沢の東の廓、トリックアート美術館などお客様を感動させることと、もう一つ、働く人を感動させる(足助町のジジ工房、バーバラハウス、長野県小川の症など)というのの二つを書いていました。

ここには書いていませんが、バブルの頃には、ホテルやビルの内装がゴージャスになり、工場も美観を意識し、ホテル工場などというのもありました。働く人が背筋を伸ばして働くような舞台でもあり、お客も貴族のようにしゃなりしゃなりと振舞ったものです。

バブルという面はあったかもしれませんが、街が舞台になることは、働く人にとっても、消費者にとっても、良いことだったと思っています。

なんだ、私だって同じ頃に同じこと考えていたじゃないの、と思いながら読みましたが、私が単なる事例紹介と方向性を述べたに留まっていたのに対し、『経験経済』の著者は、それをちゃんと法則などに落とし込み、企業にとっての意味づけとハウツウを明確に書いているところが大きく違いました。

ただ、ビジネスとして、感動を持たせることによって、付加価値が高まり、リピーターが増えるというのは良いことですし、それが親から子へ、その子が親になりと繰り返されることにより、最終的には、文化になっていくのだと思われますが、先の藤原さんの本を合わせて読むと、故郷の赤い夕日ではなく、人工的な舞台(それもモノを買わせるための舞台)が心の故郷になっていくのは、ちょっと気持ち悪いような気もします。

う~ん、子供の頃に米兵からもらったチョコレートでアメリカに憧れを持つようになった私より少し上の世代のように、ちょっと意図的で気持ち悪い。

休日の家族団らんの思い出が、ファミリーレストランで、結局、ハンバーグとカレーライスが思い出になってしまう。これも、確かに文化なのだけど。

|

« 国の底力と創造都市 | トップページ | web2.0とロングテール »

コメント

この記事へのコメントは終了しました。

トラックバック


この記事へのトラックバック一覧です: 経験経済:

« 国の底力と創造都市 | トップページ | web2.0とロングテール »