産業集積論に欠けている十分条件
「産業集積論に欠けている十分条件」「kiyo1.doc」をダウンロード について、前勤務していが大学の紀要に書いたものです。原稿なので印刷されたものと異なっている可能性があります。
日本では、経済活性化のために、シリコンバレーを手本にし、創業支援・ベンチャー育成を図ろうと、1990年代後半からさまざまな施策が講じられ、各地では、産業集積をつくる試みがなされてきました。
しかしながら、これらは、ベンチャーが生まれるための必要条件に過ぎず、これだけでは、競争力のある産業集積にはならないのではないでしょうか。たとえて言えば、料理するための材料や鍋は全部揃ったけれども、それらを沸騰させる火(十分条件)がないのではないかと考えました。
この十分条件を考えるにあたって、ファッションの世界でのパリコレをヒントにしてはどうかと論じてみたのがこの小論です。(図をクリックすると拡大します)
パリコレには、プロの目利きが集まり、信頼できる評価がなされ、それがビジネスにつながるので、世界中のデザイナーがやって来る。世界中のデザイナーの作品を一堂のもとに見れるので、世界中のバイヤーがやってくる。そこでの評価が世界中に発信されるので、パリコレがファッションの世界の中心となる。・・・といった正の循環が起きています。
こうした、総覧機能・評価格付け機能・新人がデビューできる機能(イチバ機能)を持たないとその分野で世界の中心にはなれない(シリコンバレーやパリ)のではないかとしました。
これは、情報発信機能の重要性を言いたかったのですが、未消化のままです。もう一つのブログに書きましたが、林原で聞いた「高野の午睡」の話が頭から離れなかったということもあります。最近流行の言葉でいえば、ネットワークのハブにならないと、いくら集積しても意味がないと言いたかったのです。
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