法政大学地域研究センターが文科省の学び直し事業で上記3市と契約し、私は、「礎的なデータを勉強することで自分たちの地域を客観的に把握する」という講義を担当している。
授業はテレビで遠隔で実施する。
その折作成したパワーポイントがこれ。分量が多いので4分割。「3city09-1.ppt」をダウンロード 「3city09-2.ppt」をダウンロード 「3city09-3.ppt」をダウンロード 「3city09-4.ppt」をダウンロード
こちらは統計のみで話しており、実態では分からないことを受講生が教えてくれることも多い。
昨年度の授業の折、白山市は、若い世帯が多いこともあって出生率が高いと話たところ、それもあるが、石川県では子育て支援策が手厚いという情報を教えてもらった。そこで、今年の資料には、子育て支援策を抜書きしてみた。国が一律に提供しているサービスを除いたもの(各市のHPより抜書きしたものなので見落としもあるかもしれない)。地域によって生活の実情が異なるのでそれぞれいろいろな支援をしている。
仙北市は子供を車に乗せて移動することが多いのだろう(チャイルドシート購入助成金)。石川県では、3人以上の子供を持つ家庭を協賛企業が支援するという制度がある。隣の福井県では、子育て支援に力を入れていて、特に父親が育児に参加できるように支援する制度がある。飛騨市では、出産祝金がすごい。
学び直しのような機会に他市の良い制度を自分たちの地域にも(地域にあった形で)導入するよう働きかけたら(考え始めたら)良いと思う。
昨年度には、地域医療についての意見があった。合併後、病院の統廃合が進み、温泉の町の近くに病院がなくなってしまった。温泉地では、修学旅行やスポーツ合宿などを受け入れているのだが、病院が近くにないということで、こういう受け入れが難しくなってしまい困っているという。このあたりについては、まだ良く調べていないが、病院は、地域住民の安全保障ということだけでなく、観光客を確保するためのインフラという面もある。
夕張希望の杜でも、コンビニ診療は止めるように住民に訴えているが、かかりつけの患者と観光客については、夜間の救急を受け入れるとしていたと思う。地域医療は、本当に地域のインフラとして理解し、活用方法を構築しなおす必要がある。
資料4に地域医療に関する興味深いグラフを3つ添付してある。一人当りの医者の数と寿命を比べると比例していない。一方、医者の数と老人医療費は正の相関関係がある。つまり、健康で長生きするには、医者が多くなければいけないのではなく、村上医師が言うように、日ごろから健康に気をつけ予防することが重要ということだ。医者が不要というのではなく、医者を核にしながらも、地域医療ではなく地域の健康づくりをどうするかを考えるべきなのだろう。
ちなみに、これは産婦人科の医者ではなく、医者全体なので必ずしも正確ではないが、医者の数と周産期死亡率をみても、相関関係はない。
合併に関しては、合併によってこれまで心理的に遠かった地域を身近に感じるようになったという意見が多いものの、一体感の醸成はこれからというところが多い。白山のように、海側の比較的恵まれた地域と山側の過疎地域と全く異なる地域が合併したケースでは、戸惑いのようなものがあるし、飛騨(古川・神岡)や仙北(角館・田沢湖)のように相対的に同じくらいの2つの地域が反目とまではいかないものの仲良くとは難しいケースも。仙北では、合併前に各地域が競って建物を建ててしまい、あっちの方が得をしたなどと言い合ったりしているという。
長野県諏訪地域についても法政大学が契約して似たようなことをやっているのだが、学生たちが諏訪地域をテーマにして議論した折には、仲の悪い地域を無理して仲良くさせ一体化を醸成するより、反目しあっている地域の競争心を煽り、結果として地域全体が改善される方法を考えるべきという意見があった。これは面白い考え方だと思う。
たとえば、花一杯運動のようなことをやって、各地域に競争させる、結果としてこの地域が端からみると、花の多い地域になり、観光資源になるというような考え方だ。
今年度の受講生からは、結局、地域には仕事がなく、結果として若い人が高校・大学から都市に出向き、故郷に戻れないのだという。また、若い人が出会うチャンスも少ないので、結婚のチャンスも少なく、だから子供も生まれないという意見があった。グローバル経済のなかで、地域の産業・雇用をどう考えていったらよいのだろうか。
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