社会からみた公務員への期待
総務省の情報通信関係の若手職員(Ⅰ種を除く)の研修で、タイトルのお題を頂戴し、1時間強お話する機会を頂きました。
その折のパワーポイントです「komuin.ppt」をダウンロード 。
★このパワーポイントだけでは、分かりにくいので、それを文章化しました。SML(戦略経営研究所(株)エス・ケイ・ケイ)のHPに掲載する予定のものですが、ここにもアップしておきます。SMLがPDFに加工したものは、容量オーバーなので、ワードのものにします。「komuin.doc」をダウンロード
はじめに、私が何故ここで喋っているかという立ち位置を明らかにするために、自己紹介と行政との係わりについて話しました。
そして、役所は、シンクタンクだけでなく、それを法律にしたり事業にすることができるドゥタンクであるという面で、羨ましいという話をしました。
また、地方自治体で文科省から補助金を受ける側の悲哀と卑しさについても話ました。
本題に入る前に、①正直この仕事を選んでシマッタ!と思っているかどうか聞きましたが、民間企業に入った友人のボーナス額を聞くとしまったと思うこともあるが、ほかではできない仕事が出来ることにやりがいを感じるという前向きな意見が出ました。
また、②入省する前に思っていた仕事のイメージとずいぶん違っていると思うかと聞きましたが、だいたい想像どうりだったとのこと。民間企業から転職した人は、もっと固いかと思っていたが意外に柔軟であったとのことでした。
次に、公務員についての一般的な批判やイメージについてざっとおさらいしました。大きく、4つで①民間に比べ恵まれた仕事(安定している、高給取り、仕事が楽)、②国民のためでなく、自分たちの利益(省益)のために働いている、③公正・公平ではなく、悪いことをしている、④エリート意識・見下した態度。
これらについて、誤解もあれば、期待の裏返しもあること、不祥事は、個人の倫理によることもあるが、官僚制度という組織の問題や政治・行政システムの問題に起因することもあるなどざっと整理しました。
もっとも重要な収賄・供応の原因は、行政に広範な裁量権があったり、政策決定過程が不透明なためであり、中央集権的に物事が決まり、お金が流れるという仕組みである限り、これは基本的になくならないのではないかと言いました。
そして、こうした裁量権を持つことが「一流官庁」であるとの認識があり、かつては建設省や通産省が、通信自由化で郵政省(通信)が、そして、知財重視で文科省が、最近では、厚労省や環境省がそうした力を持つようになっていて、これが嬉しくてしょうがない。
公務員制度改革で省益を無くし一元管理・内閣府に国家戦略スタッフを設けるとしているが、基本は変わらないのではないかと話しました。
公務員制度改革でいろいろな問題は解決すると思いますかと問いかけたところ、やらないよりはやるのは良いし、表面的なことは変わるだろうが、本質は変わらないのではないかという意見が出ました。なかなか、冷静です。
最後に、これまで「公」の仕事は、国家公務員か政治家がやってきたが、今は、成熟社会になり、全てを中央集権的に決める時代ではない。官民で「公」を作り出す時代であり、国家がやることと地方などがやることをもっと整理すべきだし、担い手も多様化している。社会起業家などが注目されており、「公のために仕事ができること」にやりがいを感じて公務員になった皆さんたちは、国家公務員という選択肢だけでなく、もっと視野を広げて、違う場所で活動するようになって欲しいし、国家公務員としても、こうした多様な担い手と共闘する目を持ってもらいたいと結びました。
しかし、この点についての意見や質問は出ませんでした。
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