2005年5月13日 (金)

元気なシニアが地域を活性化させる

「元気なシニアが地域を活性化させる-シニアSOHO・普及サロン三鷹の活動を例に」という話を道徳学会で報告(パワーポイント)「senior.ppt」をダウンロード し、それを小論「senior.doc」をダウンロード にしました。これも原稿ですので、印刷とは異なるかもしれません。

以前の職場で高齢化社会についてまとめたことがあり、その内容を三鷹三田会という慶応大学のOB・OG会でお話させていただいたことがあります。その折、「PPK(ピン・ピン・コロリ」が一番幸せであるというお話をしました。PPKは、先日亡くなった知人の藤原肇さんから教えてもらった言葉です(その先の出所は知りません)。広めて欲しいから使って良いと言われて、こうしたテーマのお話のときには使わせてもらっています。

この講演を頼んできたのが、シニアSOHO三鷹の堀池さんでした。堀池さんとは、昔パソコン通信を普及する仕事をしていたときからの友達で、その後、『新・職人の時代』を書くに当たって、趣味の竹とんぼのお仲間や家具・木工のお仲間を紹介してもらうなど、大変お世話になっています。

この講演会の前後(正確には忘れましたが)に、堀池さんは、勤めを早期退職し、何かはじめたいと思っておられ、この講演会もきっかけのひとつになって、シニアSOHO三鷹の活動がスタートしました。

三鷹の例は、シニア自らが地域社会における自分たちの活躍の場を探し出すなかで、「高齢者=社会のやっかいもの」という既成概念とは逆に、高齢者が社会に役立つ、社会を支えることを明らかにしてきました。

シニアになると、個体格差が大きく、元気な人、ボケない人もいれば、弱ってしまう人もいます。一律に何歳だからと基準をつくるのは間違いです。せっかく地域にあるシニアという資源を上手に活用することは、シニアにとっても、社会にとっても有意義であり、こうしたことを医学的にも(生きがいを得ると病気になりにくいなど)もっと研究してもらいたいと思います。

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地域イノベーション戦略

「産業集積がイノベーションの母体として有効に機能するための必要十分条件-地域イノベーション戦略の必要性」「sanngyou.doc」をダウンロード を産業学会研究年報に書きました。これも原稿段階のファイルですので、実際の印刷とは異なっているかもしれません。

世界中でイノベーションの母体として産業集積が図られ、産学連携が強化されつつあります。ITとか、バイオとか、同じようなクラスターが各地にあるなかで、北大・北キャンパスが成功するには、クラスター間競争に打ち勝てるようなクラスター経営戦略が必要ではないかということをまとめたものです。

そして、クラスター間の競争を高めるために、クラスターの評価・格付け機能が必要になるのではないかとしました。

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地域イノベーション・システム

「有効な地域イノベーション・システム構築の要件-北欧5地域から抽出された要件とその札幌エリアへの適用」「kiyo2.doc」をダウンロード を前勤務していた大学の紀要に書いたものです。これも原稿なので、印刷とは違う可能性があります。

日本では、90年代半ば以降、国のイノベーション・システムは、ずい分と改善されてきました。しかし、産業集積を考えるにあたっては、地域のイノベーション・システムを考える必要があります。

science_park 2003年3月末に北欧(デンマーク、フィンランド、スウェーデン)の5つのサイエンスパークを訪問する機会を得ました(図をクリックすると拡大します)。これらのサイエンスパークも日々変化していますが、当時、すでに実績をあげていました。そこで、これらのサイエンスパークの事例から、有効な地域イノベーション・システムをつくるための要件を抽出し、それを北海道地域と比較してみました。

ちょうど、札幌エリアでは、北大北キャンパスにリサーチ&ビジネスパークを作る計画があるため、比較を通して課題をあきらかにしたものです。

そのなかで、北欧地域から抽出した要件がうまく当てはまらなかった点がありました。

  1. 日本のように中央集権的な経済社会体制のなかで、地域イノベーションシステムをどう構築していったらよいのか(北大の優秀な学生は本州に就職する、北大が連携する相手は本州の大手企業である)。
  2. 北欧地域の例は10~20万人規模の都市であり、200万人弱の札幌エリアには別の要件が必要かもしれない。
  3. 北欧地域の成功は聞き意識の共有化がまずあったのだが、札幌エリアの場合、これまでの補助金等への依存体質や北海道の首都機能を持っているため、危機意識を持ちにくい。

日本の地域に有効な地域イノベーション・システムを構築するにあたっては、ここをさらに研究する必要があるといえます。

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2005年5月12日 (木)

産業集積論に欠けている十分条件

「産業集積論に欠けている十分条件」「kiyo1.doc」をダウンロード について、前勤務していが大学の紀要に書いたものです。原稿なので印刷されたものと異なっている可能性があります。

日本では、経済活性化のために、シリコンバレーを手本にし、創業支援・ベンチャー育成を図ろうと、1990年代後半からさまざまな施策が講じられ、各地では、産業集積をつくる試みがなされてきました。

しかしながら、これらは、ベンチャーが生まれるための必要条件に過ぎず、これだけでは、競争力のある産業集積にはならないのではないでしょうか。たとえて言えば、料理するための材料や鍋は全部揃ったけれども、それらを沸騰させる火(十分条件)がないのではないかと考えました。

Paris この十分条件を考えるにあたって、ファッションの世界でのパリコレをヒントにしてはどうかと論じてみたのがこの小論です。(図をクリックすると拡大します)

パリコレには、プロの目利きが集まり、信頼できる評価がなされ、それがビジネスにつながるので、世界中のデザイナーがやって来る。世界中のデザイナーの作品を一堂のもとに見れるので、世界中のバイヤーがやってくる。そこでの評価が世界中に発信されるので、パリコレがファッションの世界の中心となる。・・・といった正の循環が起きています。

こうした、総覧機能・評価格付け機能・新人がデビューできる機能(イチバ機能)を持たないとその分野で世界の中心にはなれない(シリコンバレーやパリ)のではないかとしました。

これは、情報発信機能の重要性を言いたかったのですが、未消化のままです。もう一つのブログに書きましたが、林原で聞いた「高野の午睡」の話が頭から離れなかったということもあります。最近流行の言葉でいえば、ネットワークのハブにならないと、いくら集積しても意味がないと言いたかったのです。

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2005年5月11日 (水)

携帯電話のオープン化

PCインターネットでは、約束ごとさえ守っていれば、どこのパソコンを使ってもよいし、どこのプロバイダーを選んでもよいし、ADSL回線もどこのを使ってもかまわない。

これに対し、携帯電話からのインターネット利用の場合には、NTTドコモと契約するならドコモの端末を購入し、まずは、「iモード」画面・メニューから利用する(最近では選べるようになりましたが)というように、ビジネス・アーキテクチャが非常にクローズドです(垂直的に統合されている)。

NTTドコモ、KDDI、ボーダフォンと島が三つあるような感じです。もちろん電話やメールは他社の利用者につながりますが、絵文字などが上手く使えないこともあります。

自動車でも、同じ1500CCであったとしても、トヨタの部品と日産の部品は異なります。最近でこそ変わってきましたが、それぞれの部品メーカーが系列ごとに島のようになっています(もっとも、タイヤは標準化されていて、どの車にもとりつけられます)。ゲームも、任天堂とSCEとでは互換性がなく、やはり島になっています。日本の競争力が高い産業分野では、こうしたクローズドな製品が多いのです。

しかし、携帯電話は、誰でもが持つようになり、これをプラットフォームとしてさまざまなサービスが提供されやすくするため、垂直的に統合された現在の産業形態ではなく、レイヤーごとに参入しやすい形態にしようという議論(オープン化)が高まりました。

このため、監督官庁である総務省は、行政的にオープン化を進めてきました(レイヤー間のインターフェースをルール化し参入しやすくした)。しかしながら、実際には、目だった参入は起きず、相変わらず島状況が続いています。一方で、島がある現状を前提に、どの島にも対応できるサービスを提供する企業が出てきたり、メディアミックスを利用して公式サイトではなくとも、自社サイトに消費者を誘導するサービスが登場してきました。

この論文は、携帯電話のビジネス・アーキテクチャについて、現状とその問題点、新しい動きについてまとめたものです「keitai_open.doc」をダウンロード

なお、この論文には、書いていませんが、番号ポータビリティ(同じ番号のままキャリアを変更できる)について現在3社で話し合いが進められており、早ければ18年度に実施されるようです。そうなると、サービス内容によって消費者がキャリアを変えやすくなるため、大きな動きが出てくる可能性があります。

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