生物の違い
多くの生物の細胞は、同じような構造を持っていることが明らかになりつつあるそうです。
- 原始的細菌と多細胞生物の細胞とでは、大きさが違うものの、同じようにベキ法則に則っている。
- 分子間の経路の長さ(隔たり)も同じで、いずれも三次と小さい。
- 大半の細胞は、同じハブを持つ(リンクの多いほうから10番目までの分子は同じで、最大のハブはATP)。
このように、全ての生物の構造が同じなのに、なぜ生物ごとに細胞に違いが生じたのかという疑問に答えるために、43種類の生物の代謝ネットワークを比較したところ、その全てに現れる分子は、わずか4%に過ぎないことが明らかになったそうです。つまり、ハブは共通でも、リンクの少ない分子は、生物ごとに違うというのです。
バラバシは、「生命とは、一人の建築家の設計になる家が建ち並ぶ、大規模郊外の町のようなものかもしれない。建築家は同じでも、施工者が違い、インテリアデザイナーが違えば、床の素材、窓のサイズやその作りかたといった仕上がりが微妙に違ってくる。航空写真で見ればどの家もそっくりに見えるだろうが、近づけば近づくほど、個々の違いが見えてくるのである」と述べています。
これを地域に当てはめると、基本的な構造は同じでも、ハブ以外のノードに特色を出すことでその地域らしさが出てくるということでしょうか。
たとえば、同じ東京都下の三鷹市は人口17万人、私の住んでいる西東京市は最近合併してほぼ同じ程度の19万人となりました。しかし、市民意識がだいぶ違うように思います。前者では、市民が町の長期計画を策定し、それを市議会が受けるといった市民参加型の政治を行っています。一方、後者では、合併したばかりとうこともあるのですが、農家、商家、サラリーマンと考え方も異なっており、まとまりに欠けています。
それぞれの地域がどう進化するかは、ハブ(たとえば行政)以外のノードやそのリンクの仕方によってくると考えればよいのでしょうか。
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