「地域」としての知識創造6-具体化を通して概念が地域のものへ、バイラテラル・マネジメント
小学校の総合学習の例を続けると、次には、それを具体化していかなければなりません。
豆腐づくりの次は、何をやるか、年間のカリキュラムを決めます。
次に、それをやってくれる講師を見つけ出さなければなりません。
さらに、それぞれについて、豆腐づくりであれば、大豆の生産や豆腐の栄養価についての学習準備、学校の家庭科の部屋を使うとして、大豆をどれだけ購入しなければならないか、前もって煮ておく必要がある場合、父兄の誰が下ごしらえをするか、大豆を濾すふきんをどう調達するか。出来た豆腐やおからをどのように処分するか、などなどを決めて準備をしなければなりません。
商品開発の場合、欧米では、設計する人が居て、それぞれの部門が決められた開発を次々と進める方式ですが、日本の場合には、情報冗長性があるので、誰がリーダーではなく、それぞれの部門が重なり合って、互いに連携しながら開発を進めていくことが多く、これが開発のスピードを速めているといいます。
地域での課題解決も、同様に、メンバーが情報を共有していれば、全体のカリキュラムを決める人、ボランティアを頼む人、個々の授業についての準備を進める人が重なり合いながら連携して計画を進め、かりにある部門で問題が生じれば素早く修正をかけられると思われます。
こうして、「子供は地域で育てる」という大きな概念から、「小学校の総合学習カリキュラム」が形になりました。この総合学習カリキュラムの作成と実施を通して、この地域に、この考え方が理解され、他の分野(たとえば、校庭の使い方、公園の使い方など)でも、この概念が敷衍されていくことになると思われます。
そして、公園の使い方を検討するにあたっても、総合学習カリキュラムづくりと実施を通して得られたノウハウが生きてくることになります。
なお、ここで使いました「子供は地域で育てる」というコンセプトは、三鷹市のものです。
野中先生は、以上のような組織的な知識創造のプロセスは、トップダウンマネジメントでもボトムアップマネジメントでもなく、「ミドル・アップダウン・マネジメント」であるといいます。これは、全ての成員が上下左右に働きかけて、組織全体で情報・知識を創り、それを組織全体で実現していくというものです。
総合学習の例でみたように、地域の場合には、もともとトップやボトムがないため、表している内容は同じですが、むしろ「バイラテラル・マネジメント」とでも言ったほうが良いように思われます。

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