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June 14, 2005

「地域」としての知識創造3-場と対話

フェーズ2:集団レベルの知識創造

命題3:集団という場の設定は、創造的対話を通じて、集団成員間の暗黙知の共有を促進し、集団レベルの概念を創造する契機となる。

ここでは、個人的な知識創造が集団レベルの知識創造になることを考えます。

しかし、その前に、そもそも個人の知識創造の多くは、まったく孤立したなかで行われるのではなく、本来、他者と相互作用しながらなされていくものとここでは考えます(デカルトなどの合理論では純粋な知識=真理があるとしていますが)。

個人の知識である暗黙知を集団が共有するには、まず、個人間の相互作用の場を設定することが基本です。

個々人の暗黙知を概念化するうえで重要なのが対話で、対話を通して、個々人の暗黙知(パースペクティブ)は互いに葛藤し、相対化され、時に収束していきます。

  • パースペクティブというのは、遠近法や遠視画法などという意味です。野中先生は、このことばを認知的技能としており、物事を真なる関係ないし相対的な重要性の点でみる能力と定義づけています。図と地の配置と観点とも言っています。さらに「認識における本質抽出(比較)と観点(視点/次元)創造の能力を含む概念」ととらえたいとしています。・・・個人のものの捉え方といったような意味でしょうか。

集団での対話は、個々人の様々なパースペクティブを取り込み、自らのパースペクティブが全体のなかでどのようなものなのかと認識させることにつながります。個々人の暗黙知の認識は、他人の暗黙知との対比において、はじめて自覚的な顕在化を志向します。こうして、互いのパースペクティブの共有、そしてそこから新たなパースペクティブが創造されます。

創造的対話が行われやすい場(①決め付けるのではなく、修正や否定が可能である。②上下関係にかかわりなく自由に意見が言える。③否定のための否定をしない。④対話に時間的連続性がある-対話がスパイラルに進展し、肯定・否定・止揚のプロセスが反復される。)を生み出し、維持するうえで、リーダーシップ機能が重要です。

リーダーは、時に「図」となり自己のアイデアを強調するが、時に「地」となってメンバーのアイデアを際立たせ、その過程でもっとも有望な概念を収斂させていく。そして、議論のための議論に終わらないよう、言語(概念化)する役割を果たします。

概念化、すなわち情報創造プロセスは、メタファー、アナロジー、モデルという形の意味情報から形式情報への変換が行われていくプロセスのことで、このプロセスにおける概念生成の方法論には、①演繹法、②帰納法、③発想法があり、特に③が重要と言います。

発想法(アブダクション)は、仮説からはじまるようです。仮説の本質は比較にあり、類似性がさらなる類似の可能性を提示していく推論の形式を発想法というとのこと。演繹と帰納がタテ関係の推論であるのに対し、類推はヨコ関係に広がる推論であり、その基本がメタファーとのことです。

概念化や発想法は面白いのでメモりましたが、これはさておき、個人の暗黙知を集団の共有にしていくためには、次のことが必要ということになります。

  1. 場を設ける←対話するため。
  2. 対話をする←互いのパースペクティブを相対化するなかでそれを共有するとともに新しいパースペクティブを生み出す。
  3. リーダーが必要である←対話を上手く進める。
  4. 対話から生まれたものを概念化する←意味情報から形式情報へ。

これを地域にあてはめるとどうでしょうか。ある課題について、フランクに話し合える場を設け、それをしきれるリーダーがいることが最低限必要となります。

これまでの流れからいえば、市役所内、あるいはテーマごとに市役所のメンバーと市民が必要に応じてさまざまな場を設けて対話する訓練ができていることが重要と思われます。それは、市町村合併問題のような大仰なことだけでなく、たぶん公園の使い方、子供達の下校の方法、市民サッカークラブの運営、商店街活性化などなど、そうした日常的な問題への取り組みが重層的に行われていることが地域集団の知識創造のインフラとして重要と言えるのではないでしょうか。

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