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July 17, 2005

新しい仕事

すっかりブログをご無沙汰してしまった。

札幌で新しい仕事に就く予定。

札幌エリアでは、文部科学省の知的クラスター創成事業として、「札幌ITカロッツエリア」構想を実施している。5年間のプロジェクトで、残り1年半だ。

基盤研究と応用研究とがあって、前者には、①次世代組込システム開発環境、②次世代デジタルスタイリングデザイン手法、③ユーザビリティソリューション研究があり、この3つを融合して、「ラピッドプロトタイピングシステム」を構築するというものだ。本当は、前者の成果を後者の応用研究に適用すれば良いのだけれど、時間の制約から、応用研究は先に進めており、プロトタイプや製品化の段階で、基盤研究の成果を援用しようということになっている。

私は、この基盤研究の事業化をお手伝いしながら、このプロジェクトが終わった後に、札幌のITクラスターが「ラピッドプロトタイピングシステム」を活用してこれまでよりも、一歩進んで、提案型になるための方策を探ることになっている。

イメージを言うと、かつてはテレビ局が番組を制作していたが、だんだん下請けの番組制作会社がノウハウを得て、自ら企画を提案し、俳優なども手配して番組制作してしまい、それをテレビ局に売っていくのと似ている。

札幌IT企業には、電子・電機製品の中身(ソフト+基盤)=組込みを手がけているところが多いらしい。しかし、NECとか富士通の下請け、ないし孫受けである。それぞれ特徴ある技術を持っている企業だが、名前も知られていないし、体力もないので、下請けに甘んじている。

これを「ラピッド・・」というプラットフォームを得ることにより、提案型、営業型に変えて行きたいというのだ。

私は、数年前にデンマークのワイヤレスバレーを訪問した。

そこには、RTXという企業があって、携帯電話の組込みを一手に引き受けていた。「Intel入っている」ではないが、世界中の携帯電話のなかには、「RTXが入っているとのこと」。

この会社は、ナショナルセミコンダクターに認められ、そのチップを使った携帯電話の中身の設計と基盤制作を行うようになった。ナショナルセミコンダクターが自らのチップを売り込むにあたって、組込みのやり方が分からないならとRTXを紹介、成長することになった。

つまり、RTXの中には「ナショナルセミコンが入っている」のである。

無線技術には流行り廃りがあるので、アナログもデジタルも、第二世代も第三世代も、W-CDAMもTD-SCDMAも扱う。このため、エンジニアも異動でいろいろな技術を体験させており、ある仕事が急に増えても対応できるようにしていた。

こうして世界中に営業をかけて発展している。

知的クラスター事業は、産学連携により大学の知を活用して地域のクラスターを形成ないし強化するというのが狙いである。しかしながら、今現在、札幌の基盤研究の水準が世界を一歩リードできるほど優れているのかどうか、私には、少々疑問である。

というのは、組込みの分野は、携帯電話に代表されるように、企業が世界中でしのぎを削っているからだ。CAD/CAMも光造型もおそらくかなり進んでいるはずだ。

IT分野のように、企業がしのぎを削っている分野で、大学の知がどれほど役に立つのか心配である。しかし、「I-TRON」のように坂村先生のOSが役立っている場合もあるので、このあたりは、ちゃんと決まってから先生方のお話をうかがって考えることにしよう。

札幌では、組込みシステム開発とデザイン開発にユーザビリティを加えることで付加価値を高めたいとしている。最初からユーザビリティを考えて設計することで良い提案ができるようにしたいというものだ。

これについても、既にユーザビリティを売り物にしている企業も出ており、水準を理解しなければならない。

知的クラスター事業の成果をあげることも大切だが、このプラットフォームを実際に役立てるには、RTXのような巨大OEM企業が誕生するとか、あるいは地域企業の営業窓口となる仕組みが欠かせない。

しかし、サッポロバレーと呼ばれるここのIT企業群は、好きな開発をシコシコやっていれば幸せという経営者が多い。世界市場に打って出ようなどという面倒なことを誰がやるのだろうか。

「ラピッド・・」というプラットフォームを使ったら、取引先からも評判がよく、利益もよく、なんだか儲かるらしいとなれば、鼻の利く商売人は擦り寄って来るだろう。が、そこまでの道筋はつけられるのだろうか。

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