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December 29, 2005

札幌ITクラスターの検討 その14

人々が自発的に組織に参加してネットワーク化され、互いに信頼や吾酬性の規範が出来ている地域は、ソーシャルキャピタルが醸成されていると言われる。

札幌ITクラスターの企業やそこで働く人の関係を考えると、知り合いでないわけではないが、残念ながら信頼や規範が生まれるほどのネットワークになっていないように思われる。

これに、官、学を含めてもそうである。

パットナムが比較する南イタリアのような垂直的なネットワークとは、いわば田中角栄的な親分子分の間柄を言うのだけれど、札幌ITクラスターの場合には、そういう親分子分の関係は少なそうだ。しかし、下請け構造の企業は、親会社を向いており、横と連携しようとは思っていない。一方、独立一匹狼は、他に無関心といったところだろうか。島がバラバラという感じである。

官がいろいろ指図することへの反発と、しかし抜きに考えられない(最大のお客でもある)という複雑な思いもあるが、親分子分的に官に擦り寄るほどではない。一方で、官がやりっぱなしで損害をこうむったという苦い経験はあり、それが不信感を生んでいる面もある。

大学に対しては、わがままな先生に振り回されてこりごりという不信感もある。

同じ企業から分派した同士は、知り合いだが、相手の嫌なところも知っており、仲が良いわけではない。しかし、困っているときに互いに助け合ったという間柄の企業もそれぞれある。

札幌ITクラスターの担い手間に信頼や規範が行き渡るようにするには、どうしたら良いのだろうか。

M社長は、ルールづくりをしておけば、共同で仕事をすることは可能なはずだという。同じルールでも、信頼関係がある場合には、生きるが、そうでない場合には、うまくいかないこともある。逆に、ルールを明確にしておけば、共同で仕事をし、そのうち気心が知れて信頼関係につながることもあるだろう。

ところで、M社長が言うところのルールづくりって何だろう。契約のことなのだろうか。契約なしにナアナアでやってしまい、損をしたとして不信感が蓄積されてしまっているのだろうか。このルールづくりと不信感の一掃について、もう少し考える必要がありそうだ。

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