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January 01, 2006

設計科学 その12

3.「経験的因果関係」を説明する三タイプの「理論的因果関係」

○これまで論じてきたことにより、「法則的因果論」一色だった正統派科学の「理論的因果論」は、物質層の「法則的因果論」と生物層の「シグナル性プログラム的因果論」と人間層の「シンボル性プログラム的因果論」との三分されることになった。

○生物層でいえば、遺伝子型とその細胞内外・生体内外の境界条件が「原因」となり、その表現型が1対1、1対多、多対1あるいは多対多で「結果」する。

○人間層でいえば、「3アウト・チェンジ」という野球のルール(規範的プログラムの一例)は、通例の境界条件では3アウトを「原因」とし、チェンジを1対1で「結果」する。

○いずれも「法則的因果」とは別種の「理論的因果関係」である。その際、シグナル性プログラム的因果は、法則的因果を支援/制約条件とし、シンボル性プログラム的因果は、法則的因果およびシグナル性プログラム的因果を支援/制約条件にしている。

○だが、逆に、オゾン層の破壊(物質層)は、シンボル性プログラムの作動結果としての、物理科学法則の境界条件の変容に起因し、交雑育種や分子育種はシンボル性プログラムによるDNA性プログラムへの直接的介入である。

○こうした人間層による物質層や生物層への影響に先立って、生物進化の結果それ自体、たとえば光合成による有機化合物やミミズによる土壌形成が物質層に介入し、その変容をもたらした。すなわち自然の三層の間には、下層から上層へ、上層から下層へという相互関連が観察される。

○「人間による約束事としての秩序」(たとえば、3アウト・チェンジや法律的秩序、単純なケースなら個人間の面会や会合の約束)という生活者にとって日常茶飯の秩序のあり方は、正統派科学論の「汎法則主義」のもとでは理解のしようがなかった。実定法の学が科学でありえなかったゆえんである。

○だが、プログラム範疇の導入により、人間的秩序は生物的秩序との連続(プログラム的秩序としての同一性)と非連続(物理科学的に構築されるシグナル性プログラム的秩序と表象媒介的に構築されるシンボル性プログラム秩序との異質性)の解明をも含めて解明されることとなった。

○「シンボル性プログラム的因果関係の経験的妥当性」が取り立てて殊更問題にされるのは、違背不能の物理科学法則や、物理科学的に作動し、原則として違背のないシグナル性プログラムと異なり、表象媒介的に作動するシンボル性プログラムの場合、原則として、そして現にしばしば違背が起こりえるからである。

○新科学論は、因果関係を「理論的因果関係」と「経験的因果関係」に二分し、理論的因果関係を上述のように法則的、シグナル性プログラム的、シンボル性プログラム的な因果関係へと三分したのである

○「人間界の約束事としての秩序」は、「物質層の法則的秩序」および「生物層のシグナル性プログラム的秩序」と並ぶ「人間層のシンボル的プログラム的秩序」として、つまり「秩序をめぐる進化論的構想」の最後の一環として、史上初めて「自然の科学像」のなかでの居場所を得たのである。・・ニュートン以来の「汎法則主義」の崩壊である。

○新科学論は、シグナル性・シンボル性の「記号情報」とシグナル性・シンボル性の「プログラム」、すなわち生物層・人間層に「固有の構成要素」ならびに生物層・人間層に「固有の秩序原理」という二つの科学的構成概念が「汎法則主義」の代替提案たりうると訴える。

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