« 設計科学 その12 | Main | 設計科学 その14 »

January 02, 2006

設計科学 その13

理解していないものを書き写していて、少々嫌になってきたけど、せっかくなので、続けます。

4.「自然の秩序」をめぐる新旧科学論の比較対照

○「設計科学」と「非記号的・記号的情報」と「秩序原理の進化」という新科学論の三つの提唱は、この順序でそのラディカル性、つまり、旧科学論との断絶が著しいものになる。

○「秩序原理の進化」との関連で①経験的一般化ないし経験則、②秩序の数学的構造、③自己組織性、④機械論vs有機体論、⑤ゲノム解釈における「境界条件vsプログラム」という「自然科学の秩序」をめぐる新旧科学論の五つの見解を検討し、新科学論の提唱をより具体的に描くことにする。

①経験則

○全自然と全学術にあまねく見出される経験的一般化命題(以下「経験則」と表記)は、汎法則主義の用語慣習の一環として経験法則と呼ばれてきたが、原理的には、物理科学法則・シグナル性プログラム・シンボル性プログラムおよびそれぞれの境界条件(時間的な初期条件と空間的な狭義の境界条件を含む広義の境界条件)の適宜の組み合わせからなる「ハイブリッド説明項」から導出される。

○この「秩序原理と境界条件」に基づく経験則の導出という目標を新旧科学論は共有している。

問題は、優位する秩序原理のタイプによって経験則の妥当する領域/期間が異なるという論点である。

○物理科学法則とその境界条件が優位する経験則は、法則が普遍・不変であるから、それが妥当する領域/期間は境界条件の相違(たとえば、地表重力のもとで成立する経験則との相違)にのみ依存し、一般に広範囲の領域/期間で妥当する。

○だが、シンボル性プログラムとその境界条件が優位する経験則では、境界条件ばかりでなくプログラム自体が変容可能であるから、妥当する領域/期間は著しい制約を受ける。制度Xのもとで妥当する経験則が制度Yのもとで妥当するとは限らない。

○したがって、人文社会科学の経験則については、つねにその妥当領域と妥当期間に自覚的でなければならない。ジェンダーが関与する経験則は、その好例であろう。既成のジェンダー関連プログラムを前提にする経験則は、当のプログラムが変われば変わりうるのである。女性の社会参画に関する経験則は、女性の社会参画プログラムの如何によってどのようにでも変化しうる、と捉えるのが法則科学と異なるプログラム科学の立場である。

そこで新科学論は、旧科学論の実証主義を「法則基盤の実証主義」と定義し、新たに「プログラム基盤の実証主義」を提唱する。とりわけシンボル性プログラム優位の経験則は、境界条件の制御という手立てを除けば「所与としての経験則」なる色彩の強い物理科学的経験則とは違って、「人間の手で構築すべき経験則」だという科学論的理解が是非とも必要である。

|

« 設計科学 その12 | Main | 設計科学 その14 »

Comments

Post a comment



(Not displayed with comment.)




TrackBack

TrackBack URL for this entry:
http://app.cocolog-nifty.com/t/trackback/89550/7954177

Listed below are links to weblogs that reference 設計科学 その13:

« 設計科学 その12 | Main | 設計科学 その14 »