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January 02, 2006

設計科学 その19

⑤ゲノム解釈における「境界条件vsプログラム」

○ゲノム解釈における「境界条件vsプログラム」という対立は、分子生物学やゲノム科学の旧科学論的解釈と新科学論的解釈との対立の核心である。

○旧科学論は、ゲノムを生体内で作動する物理科学法則の境界条件と捉え、他方、新科学論は、ゲノムを惑星地球上に登場したプログラム(時空的設計図)なる秩序原理の進化史的原理と捉える。

○境界条件説は、生物科学における物理科学還元主義の立場であり、遺伝的プログラム説は、かつての有機体論や生気論の換骨堕胎的な新バージョンであると位置づけることもできる。両者はそれぞれのパラダイムの内部で整合的な解釈であり、その限りでは優劣つけがたい。T.クーンのいう異なるパラダイム間の通約可能性の一つの例題である。

○だが、議論のアリーナ、つまり論議域を物理科学と生物科学に限定・局所化するか、人文社会科学をも含む科学の全域にまで拡張・広域化・大局化するかによって、二つの解釈の是非は異なってくる。

○生物科学者や物理化学者は、人文社会科学を視野に収めず議論する。だが、これまでの論で明らかなように、新科学論は、科学の全域を視野(論議域)に収めて「境界条件説」と「遺伝的プログラム説」の妥当性を比較検討したのである。

○その結論は、「自然の秩序」の原理を「法則」一本に絞る、ニュートン以来300年にわたり科学界を支配してきた根本命題「汎法則主義」を放棄せざるをえないというものであった。

○崩壊して解体された近代科学の「法則」概念は、第一に、自然の三タイプの秩序原理、第二に、経験則、第三に、(経験的・非経験的な)秩序の数学的構造という三つの基礎範疇として再編成されるためである。

○新科学論でいう「法則」は、三タイプの秩序原理の一つとしての物理層の秩序原理、すなわち物理科学法則として、全自然の根底を支えるものの、局所化された位置づけを与えられるにすぎない。生物層・人間層のプログラム的秩序は、物理科学法則に支援/制約されるが、物理科学法則に還元することはできない。

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