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January 02, 2006

設計科学 その22

○「常識的知識と文脈要因とによる相互行為の達成」および「達成された相互行為の常識的知識と文脈要因とによる説明」というH.ガーフィンケルが創始したエスノメソドロジーは、「シンボル性プログラムと境界条件とによる社会システムの構築」と「構築された社会システムのシンボル性プログラムと境界条件とによる説明」というシンボル性の一次の自己組織理論と同型である。

○なぜなら、常識的知識が包含するプログラム集合は、シンボル性プログラム一般の中核を占めているからである。エスノメソドロジーは、当初アメリカ社会学会で「科学的社会学の放棄・解体」と猛反発されたが、じつは「科学の否定」ではなく、反法則主義の「新しい科学の形態」を提唱したのである。まさしく、「法則」科学からプログラム科学へのラディカルなパラダイム転換-自覚的であったとはいえないにせよーを意味していた。命名はなくとも洞察は洞察である。「プログラム」範疇を「常識的知識」という概念で代行させた洞察である。

○エスノメソドロジー以外にも、現象学的社会学やシンボリック相互作用論など、吉田氏がかつて「意味学派」と総称したすべての社会学的思考には、このパラダイム・シフトの潜在的可能性ないし機会が与えられていた。だが、プログラム科学の立場と実質的に等価な理論的・形式的枠組みに到達したのは、エスノメソドロジー唯一つである。それほど、汎法則主義の呪縛は大きかった。

○学問体系の一環として、新科学論の知見を複合的な学術形態を持つ「工学」に適用してみよう。

○工学は、いわば「工学Ⅰ」と「工学Ⅱ」に分かれる。「工学Ⅰ」は、物質的・生物的人工物のプログラムの解明を目指す「認識型プログラム科学」であり、「工学Ⅱ」は、物質的・生物的人工物のプログラム創出を目指す「設計型プログラム科学」、つまり理系の設計科学である。

○日本の大学のカリキュラム編成からすれば、かつて前者は「卒業論文」の主題であり、後者は「卒業設計」の主題であった。

○人工物のプログラム解明という「工学Ⅰ」は、吉川広之のいう「自然物の理学」に対比される「人工物の理学」にほかならない。ここで「理学」は、認識科学の謂いであり、だからこそ「工学Ⅰ」は、科学の目的を認識に限定する旧科学論(「科学=認識科学」一元論)のもとで「理学部の卒業論文」(自然物の理学)と同格の「工学部の卒業論文」(人工物の理学)たりえたのである。

○新科学論による「プログラム範疇」と「設計科学」(「設計自体を目指す科学」であって「設計の認識を目指す科学」ではない)の提唱は、この事態を一変させる。人類の歴史と分かち難く結びつく「実学としての工学」の科学論的な復権である。いずれにせよ、工学は、「法則が書く」に支援/制約されているとはいえ、それ自体は「法則科学」ではなく、上述した二重の意味での「プログラム科学」、すなわち「理系人工物の認識型プログラム科学」(工学Ⅰ)と「理系人工物の設計型プログラム科学」(工学Ⅱ)である。

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Comments

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