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January 02, 2006

産学連携学事始め2

○産の研究と学の研究とはその趣がかなりちがう。

産:①目的が外から与えられる。②目的達成により研究が終了

産における産業技術化研究は、突き詰めれば人間の生活向上へのニーズを出発点としている。実現可能なニーズで事業化が見込まれると判断された「モノ」を作り出す研究が基本である。ここで「モノ」は、形があってもなくても良いが、どちらにしろ研究の目的は明確に外から与えられ「モノ」が出来た時点で研究は一応終わる。

学:①知的探究心により研究テーマが決まる。②一つ問題が解決するとまた新しいテーマが生まれる。③研究は自己発展的に継続し深まる。

一方、学の研究はおおむね研究者の知的探究心から生まれる。つまり、研究の目的は個人の頭から生まれてくる。独創性が命であり、それがなければ論文も書けず評価もされない。一つ問題が解決するとそこから新たな研究テーマが生まれ、研究は自己発展的に深まる。

○産と学とでは、まるで正反対。これでは、産の側から「大学の研究者が加わると研究が目的から外れ発展性がない」と嘆かれ、学の側からは「目的が達成されると研究が終わるなんてなんと発展性がないことか」とそっぽを向かれるのも無理からぬことである。

○しかし、自然科学の発展史をみると、新たな学問領域誕生のきっかけは、社会的要請を反映していることが多い。

現代社会に多大な影響を与え続けている量子力学もその誕生のきっかけは19世紀ドイツを支えた鉄鋼業の高度化への要請だった。灼熱した鉄の温度をその色から測定する方法をブランクが「量子」という考えを用いることによって見出したことからはじまる。ブランクの後、シュレーディンガーをはじめ多くの大物理学者が量子力学を体系化する。完全に学問の世界である。

ところが、約半世紀を経て、この理論を基礎にトランジスタが生まれ、現在の情報化社会につながっている。大きな流れのなかで、産と学とは作用しあい、お互いを発展させてきたのだ。産学連携は一方通行ではない。

目的も価値基準も違う産と学が互いにメリットを得られる新たな融合化システムが待たれる

「産にニーズがあり、学にシーズがある。これをお見合いさせれば新しい産業技術が生まれる」とよく言われる。前段は真であろう。しかし後段は単純すぎる。産と学の、目的も価値基準も違うドメインを融合させるには、双方にメリットがあり、お互いのミッションを損なわず協働できる新たなシステムが必要である。

産学連携の具体的な課題の一つは、そのシステムがどのようなものであるか解明し、想像力を駆使してデザインし、作り上げることにある。

異なる基準を持つ産と学という二つの「社会」。これらの社会が協働する道を指し示すために、文理が融合した「産学連携社会学」とでも言うべき考え方の体系が待たれる。

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