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January 03, 2006

産学連携学事始め6

○学術研究は、とうとうと流れる川に例えられる。源流では研究者のひらめき、アイデアの湧き出し口がある。支流を集め大河となって流れ続ける。流れの行き先は研究の深化であり、産業化ではない。しかし、この川の流れには、必ず産業化の可能性を秘めた「旬」の魚が泳いでいる。この魚を釣って、産業技術化し、事業化まで進み、さらに新産業創出を展望するまでの大料理が産学連携の過程である。

○大料理の方法は?レシピは?厨房は?わが国では未発達であった。「産」と「学」のギャップの中に、この大料理のシステムとそれに乗って料理が確実に進むプロセスを新たに構築することが産学連携を実践する上での最大の課題である。産も学も多少は変わらなければならないが、それよりはるかに重要なことは「新たなシステム」の構築である。

・・荒磯先生は理系の大学教授なので、モード2を理解はしていても、どうしてもモード1の考え方なのではないか、とこのたとえを読んで感じてしまった。これは、読みが浅いのかもしれないが。

・・同じ料理というたとえを経営者のI氏から聞いた。これは、札幌IT企業が持つさまざまなシーズをITの顧客であるニーズ産業の要望にあわせて、如何ようにも料理すると言ってくれたのだ。そのためには、札幌IT企業がどのようなシーズを持つのか、あるいは、どのような文脈でならシーズを活用しようと思うのか(好き嫌い、企業系列などなど)、また、道外も含め、ITのニーズ産業がどのような要望を持っているのかをまず知る必要がある。あるいは、I氏を含めた3者がざっくばらんに話し合うなかで、I氏が筋を読み取るのかもしれない。

・・I氏はここでは料理人なのだが、ITの場合には、大学の研究者は二の次になっている。もし、研究者の持つシーズがIT企業の持つシーズよりも産業界から遠いのだとすると、その料理人の水準はものすごく高くなければだめかもしれない。高い水準というのは、長期の開発期間とコストに耐えられる企業体力かもしれない。料理でたとえると、ひよこを連れてきて、成鳥になるまで育てる時間である。

・・ともかく読み進めよう!

○産学連携システムには、どのような機能が必要か。

1.産業技術化の可能性を持った研究、及び研究者を発見するリエゾン機能

・この機能は、学からの視点からだけでは動かない。産が今欲しいものは何か、将来必ず必要になるものは何か、事業として、地域として何が優位性を持てるのかなどの、産がまさに解決しなければならない問題点に立ってはじめて産業技術の種を探し当てることができる。

・産からの要請と学からのこたえは、異なる文化の中にある。産学連携の第一歩は、これら二つを同じ目的の下に融合する「リエゾン機能」からスタートする。具体的には、「シーズ発掘」「プロジェクト研究のコーディネーション」「地域や分野における戦略的テーマ設定」となる。

2.発掘された産業技術のコアを知財として確定し、企業への移転を図る「技術移転機能」確立させなければならない。TLOや大学の知財本部がこれを担当し、「産業技術化研究」が始まる。

3.ここから生まれた事業化可能な技術は、第三番目の機能、「事業化支援機能」により経営、法規面を整え、ベンチャー企業や新規事業展開へと進む。

4.仕上げの第四機能は、「資金提供機能」である。VCや銀行・信金などの活発な活動が期待されるが、わが国では、まだ不十分(新規起業に関する社会的評価が低い、金融機関の技術評価基準が未整備などの理由から)。政策投資銀行など官系の新規事業支援強化を図り、フィンランドのような国営VCの出現が望まれる。

・・確かに、資金提供機能、事業家支援機能は重要だが、その前に、技術移転機能が出てくるところが、これは確かに教科書どおりなのだが、どうしてもモード1の枠組みである。モード2の場をつくることがまず何より必要である。

・・最大の問題は、リエゾン機能である。産と学との両方の文化・言葉を理解し、ニーズとシーズを結びつけると化学反応が起こることを発見する力・システムをどうするかである。現在の方法は、MOTなどの人材を育成し両方の言葉が分かる人を増やす方向だ。第三者であるこういう人が増える(コーディネーター)、あるいは、研究者自身がビジネスのことを念頭に置くようになることは必要である・・そして、これは流行である。

・・確かに、アメリカのベンチャーは、大学研究者が自ら起業する、あるいはベンチャーが大学で教えることによって活性化している。しかし、もしかすると、日本では、本田宗一郎がやったように、経営者が問題意識(次のニオイを感じ、しかし、それを実現する技術が分からない場合)を持ち、学の扉を叩くことの方が実態に合っているのかもしれない。そうなると、敷居を低くする、扉を叩けるようにすることが必要なのかもしれない。リエゾン機能は、お客である企業の方を向いて、ただし研究者のDB・電話帳を持っていて、きちんと適切なところにつなげることが大切なのかもしれない。リエゾン機能が、研究者の方を向いて仕事をしてはいけないのである。あくまで、研究者の売り込み人ではなく、企業の代理人にならなければならない。

・・「地域や分野における戦略的テーマ設定」は、今の私にとっては重要な課題である(IT分野に限るが)。しかし、これはリエゾン機能なのだろうか。地域を経営するという観点では絶対に必要で、これは政策論として重要であり、発案者が居て、それを産学官が政策化していく必要があり、もし絞り込めるなら、大学のカリキュラムや人材もそれにあわせるくらいのことが求められる。

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