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January 22, 2006

リエゾンと教員の比較

荒磯先生から、産学連携学会第三回大会の予講集から、北見工大の宇都さんのものを頂戴した。

北見工大の地域共同研究センターの助教授であったときにやっていたコーディネート活動を宇都さんは、まず、広義と狭義に分けていた。広義には、大学の知的財産の有効活用に資するあらゆる活動を指すが、狭義には大学シーズの技術移転による新規産業の創成と産業界の発展に寄与することであるとしている。

そして、狭義のなかをさらに2つに分けている。

1.プロジェクトの立ち上げから管理、成果の活用まで中心的役割を担うもの。これは、多くの時間を一つのプロジェクトに費やすので、一人のコーディネーターが実施できるプロジェクトの数は限られる。

2.マッチング業務に主眼を置き、大学全体の研究内容に精通することで、産業界からのニーズに迅速に対応する役割。これは、多くのプロジェクトを立ち上げることが可能だが、その進捗状況や成果の活用に関して、コーディネーターが関与する部分は少ない。

宇都さんは、このうち2を主にやっていて、「大学研究者総覧」の作成や産学交流会による大学の研究紹介に多くの時間を費やしたとある。

マッチングの成果指標の一つである共同研究件数は2.5倍に増大したから、一定の成果は得られたが、地域ニーズの掘り起こしという観点からは積極的な活動は行えず、技術相談や交流会への来場者からの依頼に応える形での技術移転のみの対応であったとしている。

つまり、簡単に大学のリエゾン機能といっても、少なくともこの予講集に書かれているだけで、次のような役割がある。

1.知財の管理・活用

2.大学シーズの技術移転による新規産業の創成と産業界の発展への寄与

(1)プロジェクトの立ち上げから成果の事業化までのコーディネート

(2)マッチング機能

  ①大学の研究成果の紹介「総覧作成」、「交流会開催」

  ②産業界からの技術相談などへの対応(大学の研究者などの紹介)・マッチング

  ③研究シーズを理解したうえで、地域ニーズの掘り起こしをして積極的にマッチング

宇都さんは、その後学科の教員となり、地域ニーズであるほたての廃棄物処理の問題を扱っている。これは一教員の研究範囲を超えており、学内研究グループの組成や組織を超えた連携が必要であり、コーディネーターの協力を得ながら地域ニーズに応える体制づくりに取り組みつつあるという。

よくわからないが、漁業、内臓に含まれる高濃度のカドミウム処理のための研究、そうした廃棄物処理施設、処理業者、自治体などの協力体制なのだろう。

荒磯先生がいる北大のリエゾン部には、最近、ホンダを止めて道立工業試験場に勤務していたS氏と、道内の経済誌記者であったK氏とがメンバーに加わった。彼らが持っていた従来からのネットワークを頼りに、こういうことを大学でやってもらえないかと言う相談が寄せられるようになっているという。

北見工大、帯広畜産、室蘭工大、北大水産学部(函館)は、どちらかというと、もともと地元の産業にマッチした単科大学からスタートしたため、比較的敷居が低く、地元の企業が駆け込み寺のように大学を利用しやすいようだ。しかし、北大は、もともとは地域の農業のための大学であったにも係らず、かなり敷居が高くなっている。

IT企業、それもかなり大手の企業に聞いてもても、社員の場合、北大出身者でないと、北大の先生のところにちょろっと聞きに行くなどの付き合いは敷居が高くてやれていないらしい。

だから、リエゾン部にSさんやKさんが来たことは敷居を低くしたという面ではまず、一つよかったといえる。確か総覧のようなものはすでにあって、彼らは、地域ニーズに合わせて、先生を探してつなげている。彼らの前職での経験や荒磯先生がこれまで学内の情報を得ているので、どの先生が適切かを考えてつなげているらしい。同じ分野の先生が複数いる場合には、産学連携に積極的な先生、毛嫌いしている先生などなどを勘案しているようだ。

最近では、大学も産学連携しろと言われており、研究者のなかにも産学連携しようと思っている人も増えている。しかし、どうやったらよいか分からないので、そういう研究者のほうが荒磯先生に相談を持ちかけてくる。そうなると、適切な企業を見つけたり、経済産業省や道の産学連携制度を探してプロジェクトを見つけてきて応募するのを手伝う。

たとえば、魚のDNAを光にあてて、食中毒を起こす菌がついているかどうかを調べるという場合には、水産の研究者、検査機械をつくるメーカー、画像処理をする研究者、函館市などを絡ませる(この例は、誰がどう持ちかけて組成されたか確認しないで述べている)。

また、同友会企業の有志とリエゾン部とがHOPEをやっており、毎月1回飲み会をやりながら、地域ニーズの掘り起こしをし、それに必要な先生や企業を集めてプロジェクトを組成するということもやっている。

ここで言いたいことは、リエゾン部といっても、これだけ多様な機能を果たす必要があり、それをやりとげるためには、多様な要件を備える必要があるということである。ここを整理することが、オーケストラの構成と楽譜をつくることにつながる。

そしてオーケストラが上手く機能するための体液の濃度の一つは、産学連携を良しとする文化風土である。

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