なんかヘン(その5)
○地方と中央
○橋本さんの整理の仕方は納得です。
・律令国家の頃の地方は、「中央を支える経済的基盤」で、貢物を贈るところであった。中央=都は、地方から贈られるものによって成り立つ場所だった=支配者の居る場所。
・地方には、地方で、県庁=中央という支配者が居る。地方に守護を置くということは、中央のための経済基盤である地方を手に入れることだった。
・ところが、今日、これは逆転している。「地方と中央」という考え方はあるのだが、地方は日本の経済基盤になっていない。日本の経済基盤は、もはや、地方ではなく、都市部≒都市で暮らすサラリーマン。地方は過疎地になって、地方選出の政治家は、中央の金を地方に運ぶようになった。つまり、中央が地方を支えている。
・「中央が地方を搾取している」ではなく、「中央は地方を冷遇している」という不満が地方にはあり、「日本の政治家は、都市住民の声を反映させない」という声が生まれる。
・地方は経済基盤でなくなり、地方を地盤にしても見返りがない。だからこそ、「地方分権」と言い出している。地方も、地方分権と言いながら、だから金を渡せと言っている。
○地方の人はまだ「中央」という考え方をしているが、都会地の人からみると「地方」だけあって「中央」はない。都会地は、もう「都会地という一つの地方」になっている。
・地方から中央に富を送り、贈られた中央は、地方に対しこれみよがしに中央であることを誇示し、地方の人に富を贈り続けることを当然と思わせるようにする≒都だった。
・地方と中央は、負け組と勝ち組のようなもので、地方は中央に憧れ、真似をしようとする。中央は切り捨てたいけれどしにくいので、忘れようとしている。
・・コロンブスの卵だけれど、整理してもらうとすっきりと良く分かる。農作物などの貢物をくれたのが地方(税を支払う)だったのだが、高齢化、過疎化した地方は、税を還流させており、いわば、地方は貴族になっている。目立たないような暮らしをしているが、実は豊か。都会に住む人は、24時間汗水たらして働いて、税金の多くは地方に持っていかれ、貧しいインフラに甘んじている。
・・しかし、今日まで、人材は田舎が都会に貢いでいる。これは税金ではなく、活躍の場が田舎にないから。憧れという情報価値は都会にあるから。
・・中央にとって田舎はお荷物でしかない。都会だけの国になったら、経済的には楽かもしれない。では、どういう政治機構にしたら良いのだろう。山手線内でグローバルに稼ぐ国と過疎の海のように広がる鄙。
・・地方分権にするのが良いのか、それとも、空気供給源とか、水供給源とか、食料供給源というように、別の価値を貢いでくれる地方として捉え直すべきなのだろうか。新しい地方と中央の時代の考え方がまだ出来ていない。
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