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May 23, 2007

夕張に関連して

9月から地域政策論を講義するので、取り急ぎ、自治体について勉強しようと、『夕張 破綻と再生』をざっと読んだ。

この本では、マスコミなどで夕張たたきが行われているが、①産炭地の閉山後処理がまだ不十分なのに産炭法を失効させた国の責任、②リゾート法などで観光開発を煽っておいて、償還時期になって地方交付税を大幅に減らした国の責任、③道は監督して夕張市の財政状況等を知っていて放置していたはずなのにという道の責任についてもきちんと検証すべきであるとしている。

また、小泉内閣のもとで開催された地方分権21世紀ビジョン懇談会と「自治体再建法制」構想についての説明(①自由と責任、②小さな政府、③個性の競争がキーワード)がなされ、それへの批判・代案が書かれている。ビジョン懇が提案している「競争的分権」ではなく、「協調的分権」をめざすべきこととしている。そうでないと、自治体間格差が生まれ、ナショナル・スタンダードを満たせない自治体が増えてしまうとしている。

また、ビジョン懇は、夕張を根拠として新しい法制度を導入しようとしているが、夕張の問題は、制度の問題ではなく、不適切な財務処理と監査機能不全の問題であるとしている。

この本では、夕張市にも不透明な財務処理や情報公開してこなかったという問題があるが、そもそもこうした自体に追い込んだ国と道にも責任があり、それを明確にしないで、競争的分権を導入するために、自治体の甘えという見せしめ的に夕張を叩くのは、事態を見誤らせると主張している。そして、少なくとも、住民サービスの水準を維持するうえで、道がもっと担うべきであるとしている。

一つ疑問なのは、道も財政赤字がものすごいはずで、道自体、夕張を助ければ、他にもいくつも助けなければならなくなることを恐れているはずで、このところをどう考えるのだろうということ。

もう一つは、とりあえずの応急措置をし、計画にのっとって財政再建をするにしても、企業をはげたかが切り売りするように、自治体を切り売りすることはできないであろうから、どのようにその自治体の価値を高めることができるのであろうかということだ。

それとも、自治体を廃止にする、切り売りする、住んでいる人を移転させるということまでやれるものなのだろうか。本当は、それが一番良いはずなのだが。シンガポールやそのほか途上国だと、こうした白地図に線を引くようなことができるが、どうなのだろう。

高度成長期には、ムラがダムに沈んで、移転した部落は多い。

国策で炭鉱のために出来た村が、炭鉱が閉山になったら、ムリをしてその自治体を継続させるのではなく、その時に統廃合することも可能であったはずだ。住民には、移転費用を負担して、故郷を捨ててもらう。原野に戻すもよし、国策や道策で歴史博物館運営のみしてもよいはずだ。

交通の便が悪く、山間の土地であることを考えると、いったいどんな産業振興が可能なのだろうか(夕張メロンは成功)。

この本の主張についての検討や、この本が提示しているデータを検討するのは、今後の課題として、私が北海道について知らなさ過ぎたことを以下示す。

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