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May 22, 2007

小樽の職人大学2

小樽の職人大学については、前に記事を書いたことがある。ブログで紹介もした

法政大学大学院の岡本ゼミにオブザーバーで参加したおり、元小樽市役所に勤務していて、現在ゼミ生である木村氏からこれについての報告があった。木村氏は、小樽職人大学の仕掛け人で、これを修論にしようと思っているようだ。

木村さんが仕掛け人であることは知っていたが、良くここまでやれたと思うし、これが全国に広がって毎年実行されているのも凄いと思う。

たまたまCAN-FORUMのMLで花火屋の榊原氏より、愛知で今年開催される全国職人大会のお知らせが来ていた。

町おこしの実績としては面白いし、木村さんの思い入れも凄いのだが、ゼミでは、それを論文にするには、どうしたらよいかというようなことが議論されていた。これについては、私も、シンクタンク育ちなので、分からないところで、この事例を論文としてどう料理するのかを見てみたいと思う。

人づくりが大切というなら、どのような人が必要なのか、それにはどのような育て方が必要なのか。ネットワークが大切というなら、どのようなネットワークが必要で、それが他とはどう違うのかを明らかにする。ただ人間関係があるのか、酒を飲んで信頼関係を構築しているのか。信頼というが、どこまで信頼されているのか。お金を貸せるのか、一緒に債務保証をする関係か。

地域の課題は何か何が問題でどうしたいのか。これは、他地域に汎用的なのか。小樽の人口や経済が縮小している要因はなんなのか、小樽職人大学が経済活性化に役立ったのか・・などなどが議論されていた。

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○小樽は、北海道のなかでは、めずらしく製造業が集積している地域である(室蘭もそうだが)。これは、鉄道が最初に敷かれた地域であるなど金属加工業があったことなどによる。また、もっともハイカラな町であったため、洋服とかアイスクリームなどが最初に入った地域でもある。しかしながら、今日において、それほど、全国的にみて、あるいは世界的にみて優れた技術であるというわけではない。

○職人大学を建物を建てるのではなく、各職人が見習いを受け入れるという形で技術伝承をしているのは面白いのだが、前にヒヤリングした限りでは、受け入れても、昔のように無給で丁稚奉公というわけにはいかないので、それでなくても経営が苦しいのに大変だ。技術を教えても、需要が拡大しているわけではないので、仕事を分け与えられない。そうかといって、全国で通用するような優れた技術というわけでもない。

○小中学生などに体験工房をさせている。街中で、時折お祭りをしている。これによって、職人達に誇りが生まれ、また町の人々がそういう仕事があることが分かるようになった。特に体験工房は、修学旅行などでも人気で小樽に観光客が集まっている。木村さんの話では、台湾、韓国などのアジアの観光客も増えているのだという。

○木村さんによれば、小樽を観光の町にすることについては、運河論争などもあり、そうした位置づけがなされないできた。しかし、小樽の産業のなかに観光をきちんと位置づける必要があり、観光基本計画も作成した。

○私の印象では、運河を残すことに賛成した人たちも、観光客が増えて、落ち着きの無い町になることを嫌っていたように思う。職人と山の手との温度差もあるようだった。職人大学をやっている旗屋の伊藤さんは、薬屋の秋野さん(山の手)がやっている「もったいない美術館」のことは知らなかった。観光客にとっては両方とも面白いはずなのに、町の中では両者は分断されているようだ。

○木村さんによれば、利尻屋みのや(蓑谷修社長)が土地を買ってガラスなどの工房にして、成功して山の方に住めるようにという名前(出世前広場)でやっているという。小樽は、もともと一攫千金を狙った人が成功した町なので、そういう軋轢は無いように言っていたが・・?富岡町(山の手)の人たちは、浅原さん(北一硝子)やオルゴール館などに観光客が押し寄せることに眉をひそめていた。

○なお、利尻屋みのやは、「7日食べたら鏡をごらん」のキャッチフレーズで昆布を売っているというユニークな店らしい。商品もユニークだ。北海道に居る間、知らなかった!

○誇りを持たせ、職人たちが意欲を取り戻したことは素晴らしい、体験工房も良いだろう、観光客がそれでなくても減少しているなかでは良い結果に結びついている。職人→体験工房という観光イベントの担い手ということなら分かる。

○出世前広場も新しい観光スポットになっている。職人→技術を活かした新産業開発ではなく、職人→観光開発と捉えるなら成功だろう。利尻屋さんも脱サラで成功した人らしい。昔の町並み再現で観光客が増えるのは、創造都市なのだろうか。

○しかしながら、行政マンで木村さんのような前向きでネットワーカーであるプロデュース機能を持つ人は町にとっては重要だろう。彼が居ると居ないとでは、小樽の目に見えないノウハウの蓄積が異なったはずだ。

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