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June 13, 2007

都市再生のための道具箱4

創造的な活動にとっての都市について考えたいので、まずは、第二部から読んでみることにする。

1.イギリスのハダスフィールドという人口13万の町が国際競争力のなかで衰退していたが、クリエイティブ・タウン・イニシアチブによって再生した話。

・16の実験的プロジェクト 2000年を区切りとした3年間の試み。創造性、知的資本の潜在的形態は、生活の歩み全ての中に存在している。パイロットプロジェクトを通して、町中に創造的思考を広げるプロセス。

・失業者が再教育、企業化精神の醸成方法、創造的ビジネス訓練会社、創造的投資サービス(失敗)、創造的プロジェクトのデータベース、サロンでの議論、ウェブ、北部の創造性に関する雑誌(失敗)。この町への見方を内外に対し変えさせた。「ハダスフィールド-強いハート、創造的なマインド」というスローガン。

・市の中に主要な役割をする2人が選ばれた→その後交替があった、さてどうなったか?

市民の考え方を変え、自信を付けさせ、そのための教育やビジネス機会の提供などは良いと思う、それが外にも発信され、創造的な町のように見えるようになったとろまでは、賛成。
しかし、これは、ビズカフェ運動と似ている。実態を伴わない(優れた経営者がいない、仕事がない、地域・産業コミュニティが形成されていない)と水が引くように優れた人々が居なくなってしまう。仕事も来ない。

2.フィンランドの光の力

・フィンランドが暗くて長い冬にうつ病が増えるというなか、実は光が大好きであることを直感した筆者が、光のイベントを公とフィリップスとを結びつけて実施した。それが年々広がり、光に関するシンポジウムや産業展示会、観光客誘致などの経済にも結びついているという成功例。これは分かる。なかなか上手い。

3.ドイツのエムシャー

・エムシャーは、川沿いに広がる200万人が住む17の都市がある。産業革命を担った都市であるとともに環境汚染も凄い。かつ、国際競争によって経済悪化。

・IBA(エムシャー・パーク国際建築展:1989年に開幕し、10年後に閉幕)がこれらの古い資産を活用し「古い工場地域の未来のためのワークショップ」を開催した。100以上のプロジェクトが5つのテーマにグループ分けされている。

・10年以上の間に4500人以上の人々が100のプロジェクトに参加した。10億ポンド以上の建設事業と関連分野への公共投資は3万人以上の人々に雇用を創出した。エコロジーと文化に基づいた経済構造の更新から生じた。

・この集中的なイベント、かつ非常に魅力的なリーダーを得た企画は、それなりに成功したらしい。この地域にいくつかのハイテク企業が進出してきたらしい。ショッピングセンターも来たらしい。景観公園になったところもある。そこでは、コンサートも開催されているという。

この事例は、夕張を思い出させる。矢作さんの『産業遺産とまちづくり』には、美唄と夕張のことが紹介されている。ネットでみると、美唄では、現在も、いろいろなイベントが行われていて、札幌などからも人が集まってきているようだ。ネットで見る限り、行っておけばよかったと思われる景観だ。

しかし、一方で、夕張もある。この本でも、遊園地を併設して客を呼ぼうとしていると書かれている。

集中的なイベントを通して、公共投資を実現し、町を新しいものに(環境汚染を無くすなど)再生させることも可能かもしれないが、それが永続性を持たなければ結局消えてしまう。今のドイツのこの地域はどうなっているのだろうか。産業遺産が集中している、あるいは公共交通機関が発達しているなら、通年で今でもいろいろ続いているのかもしれないが。

4.アーバン・パイロット・プログラム(都市のイノベーションを促進するための多国籍プログラム)

・豊富な資金が用意されている。1990年にヨーロッパ委員会によってはじめられた。社会的排除や工業的衰退、環境の侵食や汚染から生じている種種の問題とともに、都市の経済的潜在能力が捕捉され得る新たな方法と欧州中にその教訓が共有されるべき新たな方法を探究・提示するために構想された。

・コペンハーゲン:エコ・テクノロジーと都市再生の統合:市場会館を都市環境技術センターとし、職業訓練・雇用プログラム、リサイクルプロセス、観光建築の実演・宣伝→雇用機会をもたらした。

・ポルトガル:歴史があり、もっともs浴びれている地区再生:建物や景観、照明などの改善・刷新、老人や若者のための特別サービス、商業的、観光的、文化的活動の促進。

・英国ストーク:陶器製造の歴史→古い学校に陶芸デザインセンター設立:文化産業とミュージアムと陶器産業が結びついた。

・ベニス:海洋技術センターを設立(古い兵器庫)

○評価

ヨーロッパ連合がイノベーションの価値が公的に認知した。それに資金を供給した。→想像力に満ちた都市の先駆的試みに信頼と正当性を与えた。→欧州の官僚的な地方自治体にシグナルを送った。国の首都ではなく、小規模な都市が直接欧州連合と結びついた。

26のプロジェクトは、ウエブなどで紹介され特別な存在と意識をし、互いに情報交換がなされ、一緒に改革しようという気持ちにさせた。それは、他地域にも伝播した。

パートナーシップ(商業的、市民的)の重要性や学生的なアプローチが普及した。期限内にやることは革新のプロセスを促進させた。・・・などなど。一方で反省点も。

どうやらこの章は、EU委員会が実施した都市再生プログラムについての評価と反省らしい。EU委員会によるEU統合意識を醸成するために、実施されたもののようで、国ではなく、衰退都市とEU委員会がはじめて対峙したという政治的なものである。その意味で、ある種の公共投資で、ただ、それが従来とは異なる手法を用いたことにある。

これは、日本が地域再生を考えるうえでの一つの手本(良い面も悪い面も含め)ではあり、その場合には、個々の事例をもっと精査する必要がある。が、今回私が知りたい内容ではない。

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