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June 15, 2007

創造性の引き金を引く

創造的なプロセスを動き出させる引き金について、事例をあげつつ項目化している。一つ一つは、事例もあり、うん、そうだろうなとは思うが、単なる羅列に止まっている。もちろん考えるヒントにはなる。

○不可避的な圧力(必要性や不足からそれを補う何かが産まれることは分かるが、十分条件ではない。必要性があっても<たとえば北海道は大規模農業や酪農が盛んだが必要な機器はアメリカや欧州から購入している>そこから何かを生み出すには、別の要素が必要だ<独自性を重視する経営者など>)(また、これは都市:多様性が集積するメリットともかかわりがない)

  ・必要性
  ・不足
  ・衰退

 ○思いがけないこと、予期せぬこと
  ・発見
  ・幸運

 ○野心と期待(クリエーターの野心・競争は絶対必要と思うが、一方それをやることが楽しいといったことも重要。創造の連鎖に着目するなら、競争と一緒に競うことの楽しさか)
  ・楽観主義、企業家主義、利益の探求
  ・競争圧力

 ○参加とアイデアの集積
  ・ディベート (アテネで発明されたディベート-詳説、熟考、論戦、対立する見解の説得-は、シリコンバレーで活きているらしい。常時議論のやり取りがなされるなかで新製品が生み出されている。ディベートは、創造的環境での競争に勝つための要素とみなされている。・・・羨ましい限りだ。札幌IT産業には、これがまったく無かったのだ。シリコンバレーでは、時には、企業秘密になるのではないかと思われるが、開発者が自分が考えていることを仲間内に発表したりするらしい。札幌では、「業界のビジョンづくりのためにお仲間の経営者・技術者でよいから一度集まってもらえないか」と依頼した折、競争相手とそういうことができないとして集めてもらえなかった!コア技術でそれなりの地位を確立している地元では輝く星のひとつとされていた企業の経営者ですら、この技術を活用して自社をどのように展開するかのビジョンを持っていなかったし、それを一つ上の範疇でビジョンづくりをし、この地域にどういう人材や機能が必要かを議論する勉強会すら開催できなかったのだ)
  ・都市構想

 ○他者から学ぶ
  ・エクセレンスの中心
  ・外部からのひらめき:他者の創造性は、しばしば自分の内部で創造性がひらめくための効果的な手段となる。体験の共有、視察。
  ・思いがけないつながり:異なる研究分野や異業種の人々を一堂に集めることは、知見の水平線を広げ、新しい形の創造性を生み出すことにつながる。

 「ウェルカム財団主宰サイ・アート:SCI-ART」は、科学と芸術の知見を結集させ、2年のうちに400以上の共同提案を提出した。科学の精神と芸術の精神を超えた統合を作り出し、新しい種類の創造性を刺激する。

 ○例外的な状況
  ・政変:政治的対立が活発になっている状況や社会的・政治的な何らかの変化は、不況と同様に、想像的な実験にとっては豊かな土壌になりうる。ベルリンの壁崩壊。
  ・政治的危機:ベルファースト(形骸化した自治体の構造が放棄され、パートナーシップが台頭)、ベイルート、サラエボでみられたような闘争は、時に偶然の革新を生み出す。

 ○リーダーシップを変える
  ・活動の準備:変革がいったん始まってしまえば、変革の利益は次々と波及していった。

 ○地域特性の称揚
  ・地域の制約:地域の伝統は、足枷になるのではなく、創造的な反応を引き出しうる。

 ○概念上の飛躍
  ・考え方を変える:ゴミを宝の山に。
  ・失敗から学ぶ:無益な失敗は、思慮不足、既知の失敗の繰り返し。

 ○象徴的な引き金
  ・意図の言明:憲章や宣言、声明などは、行動や革新を刺激するための集合点やキャンペーン、指標としての役割を果たす。ユネスコ世界遺産、環境に関する議定書。「改革なくして成長なし」などもそうだろう(本当に改革したかなどは別として)。
  ・場所のマーケティング:都市のブランド化(緑、教育、創造など)は、期待を育むと同時に、宣伝と現実とのギャップを無くすことに戦略の焦点をあてるメカニズムとなりうる。
  ・注目されるイベント
  ・ブランド化されたコンセプト

 ○戦略的明晰さ
  ・創造性のための政策:都市が必要とする革新的企業を科学産業集中地域の立ち上げ時の財源からマーケティングにいたるまで支えている。ホールとランドリー『革新的で持続可能な欧州都市』1997年で報告された515の事例調査のうち半数以上において、会議の手続が計画の発展において重要な発展を果たした:プロセスには時間と努力、資源の初期投資を必要とするが、高い比率で成功をもたらす??

 本を読んでいないので分からないが、日本でもキー企業を地域に誘致することは行われてきたが、それはグローバル化のなかでまた海外に移転してしまい、地元の力がないと、地域の力にはなりえていないことが多い。上記本の事例は、キー企業の誘致が地域の活性化にどのようにつながったのだろうか。プロセスを上手く運営し、地域と結びつけることができる人材が居たのだろうか。

 ○構造的危機
  ・危機:危機は緊急の反応を要求し、革新にとっての障害を克服するのに役立つ。神戸の震災は、日本でボランティアと自治体との連携をもたらした。しかし、何年にもわたる衰退は、モラルを失わせかねない。創造的な反応は、パワーと行動する意思を必要とする。
  ・不安定さ:構造的な不安定さというコンセプトには、数多くの個別の発展のための引き金が内包されている。そこには、危機、ディベート、闘争、宣言、声明などが含意されている。「アテネ、フィレンツェ、ロンドン、ワイマール、ベルリンなどの革新的都市は、その絶頂期においては、既知の状態から抜け出し、未知の組織編制へと移行していくような状態にあったのである」(ホール、1998)。

 不安定さは、創造的な都市をエキサイティングなものにすると同時に、不快なものにもする。

 今日、都市の競争によって進められる新しい形態の「構造化された不安定さ」や「コントロールされた崩壊」が自覚的に開発されている。

 都市のリーダーたちは、現状にはマッチしないものの、人々から望まれるような対象を作り出して、危機の状況を擬制するために、構想作りや引き金となる目標の設定を行う。

 チューリッヒ、ベイスル、カールスルーエ、フライブルグなどの周辺地域における都市群は、持続可能な発展によって推進される生活の質という新しい目標に則って競いあっている。「変革のための誇張された一押し」(パルナス1992年)。

 継続的なアイデアの交換、都市間の人々の移動、都市間の競争が新しい創造的環境を生み出してきた。 

5.結論
 ○創造的反応の源泉

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