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June 11, 2007

都市再生のための道具箱

チャールズ・ランドリー『創造的都市-都市再生のための道具箱』を読む。

その前に、彼がフランコ・ビアンキーニと一緒にイギリスのシンクタンクDEMOSの刊行物として書いた『THE CREATIVE CITY』の内容を要約する。

このレポートの目次は、次のようになっている。

1.都市の危機と都市における創造性の役割

(都市の経済的な成功に何故創造性が重要か、都市の問題を解決するのにどうやって創造性を動員することができるか)

2.創造性とは何か

3.創造的な都市をいかにつくるか

(異なる経験やこれまで都市計画の意思決定に参加できなかった人を動員することが必要)

4.誰が創造的で、それはどこにいるのか環境への配慮も含まれている。

(後半の二つの章では、世界の例を引用し、どのようにしたら創造的であることが可能か、創造性への障害をどのように克服することができるか、そして、創造的なmilieuxはどのようにしたら設立することができるかを提示する。)

5.結論

私が英文を読んでいるので怪しいところがあるが、彼は、都市(ここでは英国)がグローバル競争のなかで危機的な状況にあり、都市を再生するにあたって、創造性が重要であると述べている。

ここで危機的というのは、製造業では、国際競争力が低下した(経済)ことと、人々が孤立化し、危険が増し、格差が広がっている、交通インフラが使いにくい、地域へのアイデンティティがない(暮らしやすさ)を問題にしているようだ。

そして、都市再生に創造性が必要であるという意味は、かつての社会インフラなどのハードだけでなく、文化などのソフトインフラに着目する必要があるということと、都市計画そのもに創造性を発揮する必要がある(型にはまらないで根本から考え直す、創造性というのは、進歩と継続的な変化を生み出すという意味で近代主義者の考え方)ということに読める。

それにあたっては、これまで意思決定に参加できなかった女性やマイノリティの意見を入れたり、異端といわれている考え方を活用すると良いと言っているようだ。

こうした彼が主張したいことを、世界で再生に成功した都市を事例として具体的に述べている。

なお、ヨーロッパでは、森に行くことが幸せという伝統があり、都市は、敗退や危険など悪い場所という認識が強いということを背景にしているのだと思うが、彼は、都市は、創造性を発揮させる良い面を持っていることを強調している(イノベーションを生み出す保育器)。

都市の性格として二面性を上げている。

1.興奮(人工的なビル)と開放 vs 憂鬱

2.刺激と先進的 vs 廃頽と汚らしさ

3.官僚機構と市場経済(合理的) vs 非人間的と冷たさ

4.スプロール化

そして、創造的な都市環境(クリエーティブ・ミリュー)を生み出すには、知識集約型の企業、大学、文化産業などが重要で、学際的で総合的な考え方が必要だというようなことを言っている。

世界中の都市が競争をしており、それに必要なのは、天然資源などのことではなくて、魅力的なイメージやそれを反映したプロジェクトであると言っている。

創造性についての誤った先入観から逃れる必要がある。

1.創造性は、才能であって生まれつきである→そうではなく、学ぶことができる。

2.創造的であるというのは、制約を破る(狂っている)→狂う必要がない場合もある。自由な考え方が必要だが、現実に落とし込むことも必要。

3.知性と創造性は異なる。知性は意味を認めて理解すること、創造性は概念と認識を変えること。

4.創造(クリエーティブ)と革新(イノベーション)は異なる。創造は新しい考え方が生産されるプロセス、革新は考え方が実現されるプロセス。創造は、考えを生み出す互いに異なる思索プロセスであって、革新は考えの選択と実現に関心を持つ収斂のプロセスである。創造は、革新のための必要な前提条件。都市は、非常に創造的かもしれないが、革新のための分析的で評価的で金融的な解決のスキルはないかもしれない。

創造から革新を得るには、評価が必要となる。そして、評価は本来創造的なプロセスの一部ではありません。評価は、与えられた状況のなかで、そのアイデアが如何に適切か判断することが必要です-実現可能性、費用対効果、人気など。若干の都市は、創造性に特化し、他は、革新に特化している。

5.創造は文脈による(人間の活動領域によって異なった現れ方をする)。

都市計画をするにあたっては、数量的・科学的なやり方を、もっと伝統や質や人間的アプローチに変える必要がある。

それには、行政や都市計画専門家に加え、市民のイニシアチブと直観力が重要となる。

その後、事例を踏まえ、都市計画にとって問題となる項目が挙げられている。たとえば、

1.障害(官僚主義、責任、危機管理)

2.近視眼

3.後援(既得権益)

4.専門性(狭すぎる)

次いで12の重要なテーマを挙げている。

1.成功と失敗の再評価

2.新しい成功の指標

3.キャパシティの取り扱い

4.創造的な個人を最大限活用すること

5.移民の貢献

6.促進剤の活用

7.国際性と地域性のバランス

8.多文化主義から単一文化主義まで

9.参加の強さ

10.創造的な空間の開発

11.初期の勝者と途中の位置

12.都市経営の再考

  ・半公共的組織への仕事の移管による効率アップ

  ・ビジョンとリーダーシップ

  ・信頼の重要性

成功している都市の事例がパターン化して挙げられている。

○都市を研ぎ澄ます・・バルセロナ、メルボルン、バレンシア、ジュッセルドルフ、ロッテルダム

○都市の化粧と芸術的なイリュージョン・・ジェノバ、シュトットガルト、ニース、サザンプトン

○古さと新しさの結婚・・パリ、ベルーガ、ベローナ、フランクフルト

○希望の旅行?・・ストックホルム、ボストン、ドルトムント

○歩きやすい・・ミュンヘン、メルボルン、シンガポール、ミラノ

○天気を打つ?・・アムステルダム、バレンシア

○土地柄・・イギリス、ノースシールズ

○若いアイデア・・バーミンガム、ボローニャ

○時間をずらす・・ミラノ、ニューカッスル

○都市の緑化・・ミドルスブルグ

○何もしない・・

○弱みを強みに・・グラスゴー、シアトル

○媒介を通して記憶を創造する・・ローマ、キングスクロス

○ブランド化・・

○接続のための技術を使う・・グルノーブル

○官民の分断を超える・・

○偏見への対処?・・

○市民との対話?・・

○進歩のチェック?・・

レポートは以上のような内容になっている。

本はその後書かれているので、要点は同じではないかと思われるが、翻訳本なので、私の読み込みが間違っているかのチェックと、その後何が加わっているかなどが分かるのではないかと思われる。

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Comments

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