クリエイティブ・シティ序章
最初に読み始めてから、だいぶ寝かしてしまったが、読み進めることにする。
原田氏の序章:NECの研究所だけあって、情報ネットワークを重視していることは横に置くとして。
創造都市ではなく、創造産業都市としている。コンテンツ産業だけでなく、工業分野におけるイノベーションを加える。
そして、国の政策よりもむしろ、地域性や伝統に裏打ちされた都市が担うべきではないかとし、その都市がネットワーク化することが望ましいとしている。
ハード環境の整備だけでなく、ソフト環境整備が必要である(集積する人々の社会的コミュニケーション、相互作用が革新、創造性を促進するようにすべきであり、情報ネットワークが必要である)としている。ここで情報ネットワークは、IT上とフェイス・トゥ・フェイスを刺している。いろいろな分野の人が都市に住み、都市で仕事をし、都市で交流する・・そのなかで、創造的な人々が集まり、ヒューマンネットワークが形成されることが必要としている。
・・・私も、文字で書くと、上記のようなことを書くと思うが、坂口さんが言っていたようなクリエーティブな人々の生活圏が一緒である地域(憧れの地域)を本当に意識しているだろうか。・・・終電を気にして帰る郊外人ではなく、そこで遊び・生活し・仕事をする(だからマンション・メーカー)であり、これはかつてのビットバレーに通じる。つまり、同じ東京都に住み、インタビューは出来たとしても、あるいは、乗り換えたり、買い物に渋谷に行くとしても、私とビットバレーの人々とは生活圏が重なっていない。
序章を読んで、現在研究中の原宿との関係で考えたことのメモ:
1.シリコンバレーの強さについて、ウィリアム・F・ミラーは「全体の環境、すなわち革新と起業家精神によって研ぎ澄まされた『生息地』から生まれている。この生息地は、次々に生まれる新しい企業や技術と共栄しながら、時間をかけて内生的に発展を遂げてきた」と述べている。
「情報通信から次のリーディング産業であるバイオやナノも含め、絶えず新しい分野をみつけ、革新的技術や商品を開発しつづけることができるメカニズムを持っている。そのメカニズムとは、新技術の開発力はもちろんのことであるが、その技術を商品化し、市場に出して実際の富みを生む力とそのスピードのメカニズムである。・・・現地では、「Social Innovation(社会的革新)に向けた継続的な努力」と表現されており、住む人たちが絶えずイノベーションを生む機能を持ったコミュニティを維持・強化すべく生活環境を整え、社会システム、人間関係を改善発展させ、クオリティオブライフの維持・発展させる努力を続けていることを表している。世界に冠たるハイテク企業を次々と生み出すシリコンバレー成功の本質は、市場原理をより良く機能させるこのような文化的風土にある。・・人種、性別、年齢、宗教などに係わらず、誰もが自由に競争市場に参画でき、実力次第で大きな成功のチャンスが得られるという市場原理を中心とした機会均等かつ個人尊重の文化、シリコンガレーは米国の良さが凝縮されている。・・失敗してもそこで何を学んだかが評価される。」・・・ある意味では、スノッブなエリアであり、そのクラブ化により風紀が乱れない、スラム化しない工夫をしているはず(地価が高いので低所得者層が入ってこないのに加え)、小学校でPCインターネットを早く教えていたなど。
・風景や環境を借景として利用する→しかし、借景としずらいほどに土地利用が進んでいる今日では、借景したい景観をお金や汗を出して維持するエネルギーが必要になる。それには、単なる風流人では済まず、ランドスケープなどの土地開発利用についての大きなビジョンと政策が必要になる。
明治神宮のお陰で原宿がメリットを得ているとしたら、商店会は、欅の維持だけでなく、明治神宮の森を守ることにも力を尽くさなければならない。文教地区へのこだわりは、純粋な住民に加え、それによって利益を得ている商店会も応分の力を尽くさなければならない。
・もし、この地域をいつまでも広い意味のファッションのメッカにしておくなら、たとえば、①外国人アーティストに場やチャンスを与える、②外国人を含め、新人に場やチャンスを与える、③小中学生が自然にファッションタウンで遊んで目を肥やすだけでなく、彼らにプロが教育するチャンスを与える(原宿の小中学校では、世界一流のアーティストから直接教えてもらえる)。④内外から来る学生などにも、そういったチャンスを与える。・・チャレンジのためのファンドやファッションショーを開催するための費用を原宿から卒業した企業から集める工夫など。卒業生が青山・原宿を愛するようにする。←シリコンバレーでは成功した際には、VCとして後進に対して投資をして育てる。ベンチャーの循環システム。
・NPOJVSVの年次レポートでダグ・ヘントン「シリコンバレーの新局面」技術志向の経済から経験を伝えるテクノロジーを創造する高度にクリエーティブな人材が要求されるアイデア志向の経済に移行している。iPODやGoogleなど?
・Google:社内の知識労働者は、働いた時間ではなく、仕事の成果に対する報酬を期待する新しいタイプの労働者。知識労働者をのびのびと働かせる企業には、最高の人材が集まり、結果として長期にわたる競争的優位を維持できる。G社では、勤務時間の最大20%までの自分自身のプロジェクトについやすることができる。その結果、命令されなくとも、アイデアが自然と集まるカルチャーが生まれている。エリック・シュミット、ハル・バリアン「グーグル流経営者10のルール」Newsweek日本版2005年12月28、1月4日合併号p。63
これは、VANも、坂口さんが書いているマンションメーカーも、ビームスも似ている、ルール化されているかは違うかもしれない。創造性を重視し、上手く行っているときは、皆こんなかんじ。これが失敗しないで続けられるところがミソ。
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