クリエイティブ・シティ第5章
木村氏による第五章:バルセロナ-ネットワーク創造社会へ
バルセロナ・カタルーニャ自治州:州人口680万人。スペイン人口4200万人の15%:GDP18%、工業総生産26%、海外貿易29%、ハイテク輸出37%。市は人口158万人、首都圏440万人。ピカソやガウディなど文化人を輩出した都市。
バルセロナモデル:都市再生の分野において、質の高いデザインの公共空間の創出、官民協働の先進事例:スラム化した旧市街地の再生プロセス(1999年英国王立協会から金賞):都市を建造物の集積としてみる発想ではなく、建造物の間隙に生じる空間の価値に着目し、「空である間(空間)」を公共的生活空間の基点として都市という生活空間の豊かさを創造しようとした観点。
古く疲弊した建物が密集している市街地で安普請の建物を取り除き、そこに小さな辻広場をつくる、その近隣のカフェにテラス席を出してもらう。人々が集い、賑わいが生まれる公共空間が創出されたところで、文化的公共施設を整備する。→するとその空間に面する民有建造物も次第に改修作業が行われ、人々が安心して楽しむことができる空間が波及的に拡大していく。
こうしたアプローチが実現したのは、「公共空間を人の手に取り戻す思想」が社会的に共有されていたから。『持続可能な都市-欧米の試みから何を学ぶか』「都市の社会的結束を促す公共空間(広場や公園)の充実が市民社会全体の利益になるというコンセンサスがある・・日本の都市再生に欠けているもの、それは市民共同体意識である」
バルセロナ市民フォルダ(市民一人ひとりが自分のフォルダを持つということ):市は市民のデータを明確にフォルダとして管理し、情報コントロール権が行使できるように運用する意図を具体化している。オリジナルデータの所有者、管理者を明確にして管理するための法制度を整備し、そのうえで、データベースの整合性を確保することで、市民が自らの情報を必要な時にアクセスし、自分のフォルダで確認することができる。
・Poblenou地区:22aとも呼ばれる:バルセロナのマンチェスター:集落があったところに、産業革命期、繊維産業を中心に工場が次々と侵食して建てられた工業地帯→産業構造の変化、国際競争の進展などにより、歯が欠けるように工場が撤退し、コミュニティとして衰退、スラム化していく。→都市計画基準の見直しが検討され、「22@」という再生プロジェクトが2000年から。15年から20年かけてビジネススペース延べ320平方メートル、10から13万人の雇用創出、3500から4000戸の住宅、22万平方メートルの公園などの緑と公共施設に利用するというもの。既存の街並みを生かせる部分は生かしながら漸進的に再生。高さとファサードが揃った街並みを維持しながら、通りに面していない中庭をより緑豊かな場所、あるいは高層ビルで整備。ITとハイテク。家賃率15%とし、IT技術者など短期滞在することを容易にし、職住近接の環境を整備。
・ポルタ22:市によるプロジェクト:将来に必要とされる職業・職能をのための能力要件分析をし、データベース化して就労支援システムを開発、運用。①宇宙産業、②ロジスティクス、③食品、④健康科学、⑤生命科学、⑥美容・レジャー・文化、⑦メカにクス、⑧環境、⑨化学、⑩企業向け専門サービス、⑪個人向けサービス、⑫情報津ス新など。→700以上の職種カタログ作成、個人が自分の職業適性を判断するためのツールも開発されている。ネットで公開するのではなく、イントラネットを整備したポルタ22の施設でグループ学習として提供。このほか、一般にも開放。
現代産業社会は、成長の駆動力がモノを介した活動から、サービス、知識・情報・感覚を介した活動へと大きく変化してきている。大量生産・消費に向かず、個別性、差異性に価値が生み出される。人々が集い、活動が集積する都市的空間がさまざまな不均一性、多様性、差異性を生み出すことにより、発展を駆動する力として重要な役割を果たす。
フロリダの論を志向しているようだ。
・イタリアのエ・ロ州は外人比率が6.5%、日本は1.5%。東京でも2.8%。バルセロナ16%。 カソリックなのでバイオが難しい。
フロリダの3つのTに加えて、信頼Trustを加えるべきではないか。
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