クリエイティブ・シティ第3章
土屋大洋氏による第三章:スウェーデンにおけるネットワーク創造都市戦略
・スウェーデンは日本の1.2倍の国土に890万人が住んでおり、ストックホルムでも人口が167万人しかいない。主要産業は、自動車ボルボ、携帯電話エリクソン、家具IKEA。音楽の輸出は、米国、英国に次いで世界第三位。1739年に王立科学アカデミーが設立された。1652年にオルフ・ルードベック:人間のリンパ腺のシステムを発見、18世紀前半にアンデルス・セルシウス:セ氏温度計を発明。1876年にエリクソンが電話関係の機器を作る会社を作った。1892年にヨハンセンがモンキースパナを発明。ノーベルがダイナマイト発明。テトラパックやボールベアリングもスウェーデンの発明。18世紀を契機に農業国から工業国へ。
・福祉国家でもあり医学に強く、バイオに。バイオはストックホルム地区とマルメ地区。
・エクスペリエンス産業:増大する体験への需要、体験の消費を満足させる人々や企業と定義。IKEA:品質の良い商品を扱うという企業イメージを売る=エクスペリエンス産業。今日の製品は、価格や品質に体験を加えることによって売られるようになってきている。氷で作ったアイスホテル。GNPの5%を占める。
五感に訴えかける知識産業:体験・経験することで楽しめる、生活を豊かにすることができるものへの投資。B・ジョセフ・パインとジェームズ・H・ギルモア:生活必需品(経済的機能:抽出)、製品(製造)、サービス(配送)に次ぐ4つ目の経済カテゴリー「エクスペリエンス」(演出)である。
・スウェーデンの知識財団:エクスペリエンス産業(13分野を特定):建築、アート、コンピュータゲーム、デザイン、ファッション、映画・写真、飲食、文学・出版、マーケットコミュニケーション、メディア、音楽(音楽輸出で黒字なのは、米・英とスウェーデンのみ)、パフォーミングアーツ、観光:デザイン、ファッション、音楽、観光は輸出志向の分野
・アルビン・トフラー:第三の波(プロシューマー)→ダニエル・ピンク:第四の波を指摘:グローバルな情報化で米国の知識労働の仕事は発展途上国にアウトソーシングされる。単に知識を必要とするだけの仕事は途上国でも可能になっている。農業の時代、工業の時代、情報の時代に続くコンセプトの時代が到来し、コンセプトの時代に求められる人材は、既存の思考の殻を破った「ハイコンセプト(新しいことを考え出す人)」であるという。右脳人間。ビジネススクールでMBAを取るのではなく、アートスクールに行ってMFA(Master of Fine Arts)を取る。
・ダニエル・ピンク『ハイコンセプト-新しいことを考え出す人の時代』大前研一訳、三笠書房2006
・B.Joseph Pine Ⅱ and James H. Gilmore, ""Welcom to the Experience Economy," Harvard Business Review, July-August 1998 p.98 第四の経済としてのエクスペリエンス「experience_economy.xls」をダウンロード (十分理解できていないので、表を添付しておきます)
・スウェーデンは同性愛者が社会のなかで認められている。人口の10%が外国人か外国生まれ。寛容であり、新しいものを取り入れる。社会保障がしっかりしているので、引退後もお金を使え、未来を考えなくてもよい。順番待ちの医療サービスという悪い面も(メディアルツーリズムと言われ、すぐにサービスを受けられるタイなどに行く)。
寛容性は表面的であるとか田舎は違うとか、同質性(ファッション)という指摘もある。教育は無料これが強み。大学も無料。平等思想が強いので天災が生まれない。・・・最近では、アート志向。大企業志向でベンチャーが生まれにくい→最近は増えてきている・・などなど。
・ヨーテボリ:ボルボ本社:環境自治体(長い時間をかけて公害の克服を羽蟻、現在も大気汚染防止などの対策や電気自動車の導入、バイオガスプラントの建設)、産業創造都市:2つのサイエンスパーク:大学も多く文化の町。オープンな街(大阪、上海)
・キスタサイエンスパーク
・日本への示唆:日本との違いは、空間の豊かさと社会保障。インフラ投資。日本は地方空港整備にあたっても、東京との結びつきではなく、国際的な人材を呼び寄せるという視点も必要。知識偏重ではなく、創造的な都市の姿:地域環境との調和を目指しながらアートやデザインに力をいれる。
エクスペリエンス産業についての記述のほか、特に得られることはなかった。
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