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March 21, 2008

学び直し:3市比較

法政大学地域研究センターが文科省の事業で学びなおしというのを受託しており、仙北市、白山市、飛騨市と契約をして遠隔授業を実施している。

先日そのうちの一コマで3市の比較を講義して欲しいといわれて作成した資料です「3shihikaku.ppt」をダウンロード 。また、最初の資料では、産業比較(就業者数)を事業所統計で作成しているのですが、これだと農業など一次産業が小さく出てしまいます。国勢調査を使うほうが良いようです。これによると、仙北市(14.3%)や飛騨市(8.9%)は、一次産業の比率がかなり高いです「3shishuugyoukouzou.xls」をダウンロード

それぞれの地域ですでに入門的なワークショップを終えていて、各地の弱み強み、自分達の地域を客観的に把握し、それを人に伝える訓練をしたとのことで、私の分担は、今度は一緒に授業を受けている3つの市を客観的に比較してみるというものでした。

比較することで自分達の地域を把握しなおすという主旨のようです。

そこで、既存のデータで3市を比較してみました。

1.空間的、地理的比較:自分達の町は田舎で不便だと思っているかもしれないが、どの程度不便なのか、ほかに比べれば有利なところがあるかもしれない。

2.歴史的、観光的比較:それぞれの地域には、独特の歴史があり、それを観光資源として活かせるのではないか。祭りなどがその典型だが、最近、はだかでする祭りが問題になったように、共同体のなかの神事を不特定多数の観光客に見せるものにしてしまうと本質を失ってしまうかもしれない。

祭りは、たとえ町が衰退していても、地元の人たちにとって魅力であり、都会に行っている人でも祭りのときには戻ってくるなど、共同体の維持に今日でも重要な役割を果たしている。しかし、もしかすると、(共同研究している知人によると)祭りに逃げてしまい、町の衰退などの現実の課題にエネルギーを割かないという問題があるのではないかとの指摘もある。

また、たとえば、飛騨市は、高山市や白川郷など強い観光資源を持つ地域がすぐ近くにいるので、通過点になってしまうという悩みがあるが、もしかすると上手な連携をすれば相乗効果を発揮できるかもしれない。→角館は桜が観光として有名なのだが、岩手の水上とあわせて観光客が来るので、宿泊してもらえないなどの話が出た。

3.人口推移:田舎はどこも少子高齢化が進んでいる。日本中が人口減少傾向にあるなかで、人口増を考えるのは無理がある。人口が減少していくことを前提にではどういう暮らしをするかを考えなければならない。もし、やはり人口増が不可欠と思うなら、ではどうするかを考える必要がある(移民を受け入れるかなど)。

4.産業比較:自分達の地域は、どんな産業で持っているのか、どんな産業で外貨を稼ぐのか。農業は衰退産業と認識されていたが、途上国の発展で世界的に食糧不足傾向にあることや、食の安全が重視されているなか、農業をもう一度見直す必要がある。しかも、新しい技術開発を活用することで、農業が最先端産業にもなる可能性が高い。販路としても、金持ちになったアジアの国々に高級品として売れる道筋も見えてきている。

飛騨市のカミオカンデ関係の企業や研究所は、飛騨市がお金を出しているが、飛騨市の産業クラスター形成などにはまるで役立っていない。これを観光資源化するとか、クラスター化できる可能性はないのだろうか。

田舎は緑が多い、空気が綺麗、水が美味しいなどというイメージがあるが、産業廃棄物問題があったり、酸性雨でやられてしまうという問題もある。後者は、グローバルに対策を考えなければならない。田舎だからといって安全ではなく、良い環境を維持していくためには、グローバルに動かなければならないかもしれない。

5.社会的指標:これだけでは良く分からないが、犯罪が多いとか、不登校が多いとか、早死にであるとか、それぞれの地域社会の違いがある。経済発展を考えるなら、よそ者にも寛容であることが重要である。良いところを生かすとか、あるいは改めるとか、教育を重視するとか、子供の頃からのしつけを徹底するとか、理科に強い子供を作るとか、特色を出すことも可能である。

何故、自分達の地域を把握する必要があるのか。

1.しばしば田舎の人は、自分達の町には何もないということが多いが、他と比べて考えてみると、この町ならではの資源が必ずあるはず。

岡本先生が事例として話していたのは、ニセコスキー場にオーストラリア人が押し寄せる、高野山に写経のために外国人が来る、福島空港は羽田便がないので、日本人はほとんど使わないが、韓国からのゴルフ客が増えているなど、違う発想をすると、予想もしないニーズ(資源の活かし方)がある。

逆に、自慢げに緑があるとか、水が綺麗ということもあるが、緑は日本の田舎なら大概ある。

2.また、田舎の人は、自分達は交通が不便、山ばかりで耕地が狭いなど、条件が不利なことばかり言い立てる。しかし、これは一方でメリットかもしれない。交通が不便なので、開発の波から逃れ、伝統が残っているとか。山ばかりで耕地がない上勝町が葉っぱビジネスで成功している。あるいは、他に比べれば結構有利かもしれない。

3.これまでは、国の補助金政策もあって、隣の町にあるものを自分の町にも欲しい、さらには、銀座が欲しい、国立劇場が欲しいといった無理なことまで思っていたきらいがある。しかし、あれも、これも欲しいといっても、無理である。まして都会と同じものを持つのは無理である。誇れる資源を見つけ出し、この町ならではの売りを作って差別化を図る必要がある。

4.10年後、どのような暮らしを望んでいるのか、地域住民が自分達で考え、あれもこれもでなく、選択し、それを実現していく必要がある。自分達で自分達の町のビジョンを描き、それを実現するために、自分達が汗をかくという当たり前のことをしなければならない。

これこそが、自治であり、自律である。デンマークでは、原発に国民が反対し、そのため、冬はすごく寒いが皆自転車で通勤通学している。これを選択するなら、これは我慢するという姿勢が必要である。皆の納得のうえで選んだことには義務と責任がある。

『アメリカ中小都市のまちづくり』に出てくるデービスでは、町の周辺の緑を守るために、税金を割増している。

岡本先生は、これからの地域政策には「創造」と「想像」が必要であるといっていた。クリエイティブも大切だが、今のままでは、このような事態に陥るので、今からこうした手を打とうなどと考える「想像力」が重要であるという意味だ。

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