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March 30, 2009

宅老所

前の前の記事で宅老所のことを紹介した。私にとっては、耳新しい言葉だったので、新しいサービスなのかと思ったら、そうではなく、むしろ、介護保険制度が出来る前から、大規模型の特養に疑問を感じたり、地域のニーズにともかく応える形で始まっていたサービスらしい。

多くは、民家などを活用し、家庭的な雰囲気のなかで、一人ひとりの生活リズムに合わせた柔軟なケアを行っている。

たとえば、自宅で暮らしているが、昼間は宅老所に遊びに来ていて、介護している家族が旅行などをする場合には、宿泊することも可能である。いつも行きつけの場所で、顔見知りのヘルパーがいる場所なので、急にショートステイすることになっても、利用者が不安を感じないですむ。必要であれば自宅への訪問サービスも行う。なかには、長期の入所を実施しているケースもある。また、介護される人がお客様ではなく、たとえば一緒に買物に出かけたり、食事づくりを手伝ったり、やれる人がやれることをする。

公的な制度ではなかったこともあって、地域の事情や一人ひとりの状況に合わせて必要なサービス(結果としてデイ、ショート、長期、訪問など多機能)を柔軟に提供してきた。

こうした実績があったことから、06年の介護保険制度改革の折に、宅老所がやってきたサービス内容が、地域密着型サービスとして制度に導入されるようになったようだ。また、大規模な特養でも、ユニットケアとして、少人数を担当のヘルパーが担当する方式が取り入れられることとなった。

現在では、宅老所の多くは、介護保険制度を活用して、デイサービスについては、保険適用を受け、一方、長期入所については自主事業として実施するところも多い。06年の介護保険制度改革によって設けられた29人以下の小規模多機能型居宅介護については、制度に乗ったところと、乗っていないところがある(乗らない理由としては、他市町村の利用者がいる、制度に縛られ柔軟なサービス提供がしにくいなど)。

宅老所・グループホーム全国ネットワークもできていて、情報交換や提言などを行っている。

上記ネットワーク代表世話人の川原秀夫氏が厚生労働省の委員会に提出した資料によると、先駆的な事例が挙げられている。

・1987年:出雲ことぶき園:梶谷和夫氏

地域密着・小規模・多機能型老人ホームとして開設。公的制度が全くないなかで、民間の非営利団体として、呆け老人をかかえる家族の会島根県支部等の後援を受けて開設したとある。

園長の槻谷和夫さんは、以前は100人規模の老人ホームに勤めていたが、お年寄り1人1人の名前も覚えられない大きな施設では、人間らしいお世話はできないと感じ、ことぶき園を開設したとのこと。

・1991年:福岡宅老所よりあい:下村恵美子氏

・1993年:栃木のぞみホーム:奥山久美子氏

また、前の前の記事で佐賀県が地域共生ステーション(宅老所・ぬくもいホーム)推進事業をやっていると紹介した。

この事業について説明したHPによれば、「子どもから高齢者まで年齢を問わず、また、障害の有無に関わらず、誰もが自然に集い、住み慣れた地域の中で安心して生活していくことができるよう、様々な福祉サービスを、地域住民やCSO(市民社会組織)、ボランティア等が協働し、支援していく地域の拠点である地域共生ステーションの整備を支援します。 」とある。

なお、CSOとは:Civil Society Organizations(市民社会組織)の略で、NPO法人、市民活動・ボランティア団体(以上志縁組織)に限らず、自治会・町内会、婦人会、老人会、PTAといった組織・団体(以上地縁組織)も含めて「CSO」と呼称しているとのこと。

こうした考え方を取り入れている宅老所も多いらしい。この先駆的試みは、富山県とのこと。このゆびとーまれが有名らしい。

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