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June 19, 2009

新資本主義再々考

社会起業家ブログをやっている町田さんから「ゲイツ財団も、グーグルオルグ(非営利)も、慈善精神ではなく、投資だといっている。ゲイツ財団は、感染症撲滅に、グーグルオルグはグリーンビジネスにお金を出しているが、その先に収益部門が登場する確信があるようだ。社会に良いことをやれば儲かるようになるという当たり前のことを非営利部門でやるところが新しい。この発想は、社会のあらゆる部門に応用可能では」というような内容のメールを頂戴した。

ゲイツ財団の人は、財団は民間資本より柔軟に活動できると言っているという

このことを考えてみた。

1.民間資本は、グローバル資本主義のなかで、収益性が高くないと投資できない。

2.財団は、「世の中に役立つこと」なら、収益が出なくても、資金を提供できる。おそらく、税制の特典もある。「世の中に役立つこと」をしているなら、寄付も集まる。

3.2の資金提供のなかから、新薬や新技術が開発され、実用化の目途が立てば、民間資本も投資できるようになる。

4.これまでリスクマネーを担っていたベンチャー・キャピタルは、100投資して3つほど成功し、株式を公開することで大きく儲けてきた。

5.財団は、ベンチャー投資では、エンジェルのようなもの。苗床ではなく、どの種が使い物になるかなど開発より前の研究段階くらいの支援。

6.これまで、この段階の資金提供者は、国だった。これを財団がやる。財団は、資金を提供し、研究開発のインサイダーになることで、確実にモノになる種を見つけやすくなる。

アメリカのベンチャーの仕組みも、エンジェルやベンチャー・キャピタルなど、リスクマネーを提供するが、インサイダー的な情報を得る仕組みだ。財団がこれに加わるということだろう。

年金基金は、ヘッジファンドに運用を任せ、実際には、何に投資しているのか分からない金融商品に投資した。

これに比べれば、財団の資金提供は、リスクはあるが「世の中に役立つこと」を支援し、しかもかなりの確率で、その文脈から将来モノになるものを見つけ出すことができるなら、かなり美味しい話だ。

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この方法、つまり財団(非営利組織)が「世の中に役に立つこと」を支援し、支援の先に投資を回収できる新技術・新サービスが生まれるという方法を日本に適用するとどんなことになるのだろう。

たとえば、環境問題、福祉問題、教育問題、地域産業振興などに資する活動があり、財団がそれらを支援する。そのなかには、新しい技術やサービスが生まれる可能性があり、問題が解決するだけでなく、財団にも投資以上の見返りがある・・・といったイメージだ。

僻地などの遠隔医療を担う試みがあって、その人たちを支援するなかで、素晴らしい遠隔医療技術が開発されるとか、身体の不自由な人を支援する福祉機器を作ろうという試みがあって、それに使われる技術から素晴らしい素材が生まれるといったイメージだろうか。

問題は、日本にはゲイツ財団やグーグルオルグがないことだ。

ぼろ儲けできるだけの優れたビジネスモデルを開発した企業が居ないので、豊富な資金を持ち、新しい対応をしようという財団がない。

ぼろ儲けをした企業がいなくても、企業にとってCSRが重要となり、一方で「世の中に役に立つこと」をしている人々が居れば、その橋渡しをする財団が出来、日本でもこうした仕組みが成り立つ。

日本では個人資産が豊富で、銀行に預けても金利は低いし、何か良い活用方法はないかと思っている人は多い。なかには、資産を増やそうと怪しい投資話に乗ってしまう人もいるが、「世の中に役立つこと」をしたいと思っている人もいる。こういう人たちを騙すのではなく、「世の中の役にもたち」、将来的には儲かるビジネスに出会えるかもしれないという「夢」も見せられるなら、日本版の「財団」を作れるかもしれない。

問題は、日本版「世の中に役に立つこと」を率先してやっている人・組織がいるかどうかだ。

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