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June 16, 2009

電気自動車・福祉機器・ロボット

グリーン・ニューディールもあって、エコ・カーが話題だ。

6月8日NHKのクローズアップ現代で電気自動車の最新事情を伝えていた。

これまでも何度も電気自動車は、話題になっていたが、最近では小型で長持ちするバッテリーが開発され、実用性が高まったのだという。

電気自動車になると、部品点数が大幅に減ることから、自動車の作り方が変わる。事例でも、ファッショナブルな自動車をベンチャー企業がイタリアのデザイナーに依頼し、中国の軍事用に開発された性能のよいバッテリーを使って作り、ファッション店などで販売していることが紹介されていた。

三菱自動車が電気自動車市販一番乗りを目指してバッテリー開発に力を入れてきたというのは、起死回生を図るための大きな賭けと言えるだろう。三菱は、バッテリーを自社開発しているが、上記のベンチャーのように、家電メーカーをはじめ、他産業が簡単に参入できるようになる。

自動車会社にとって電気自動車を普及させることは、自殺行為でもある。もちろん、足回りなどメカも必要だが、摺り合せ技術に強みを持つトヨタなどの日本の自動車メーカーにとって、自動車そのものがモジュール化することは脅威だろう。

トヨタがハイブリッド車を出した時、確かに当時はバッテリーが量産・実用車向けにはまだまだであったからだが、ガソリンエンジン(自分たちの得意分野)を残しておきたい思惑があるのではないかと思ったものだ。

番組では、アメリカ企業が充電したバッテリーを貸し出すビジネスを展開しはじめたとも報じていた。さすがに、アメリカは、新サービス開発が速い。

解説者の東大村沢教授がGMが崩壊し、電気自動車などの新しいベンチャー自動車メーカーが複数輩出するようになるのではないかと見通していた。この可能性は十分あるだろう。

そして、日本のように磐石な自動車産業がある国よりも、GM、クライスラーが崩壊したアメリカの方が、新しい移動ビジネスをどんどん生み出すことになるかもしれない。日本は、優れていただけに、この分野で遅れを取る可能性もある。

自動車産業に依存してきた日本の製造業は、アメリカの自動車メーカーが破綻したことよりも、グリーン・ニューディールの動きによる地殻変動の方が将来的なダメージは大きいかもしれない。10年後の自動車産業は、完成車メーカーが百花繚乱している可能性があるが、一方、部品点数が大幅に減少するので、部品・素形材産業は、自動車以外の分野を模索しておくべきだろう。

ガソリン自動車の比率が低下するなかで、では、次の分野は何だろう。

それは、一次産業や医療・福祉の分野ではないか。この分野は、まだまだ生産性が低い。個別に対応しなければならないという難しさもある。しかし、センサー技術、ロボット技術、通信技術を応用すればいろいろな可能性があるはずだ。現在この分野で使われている機械は、参入も少なく、高額だったり、プロ使用向けだったりするが、安くて使い勝手が良いハード・ソフトを開発する余地があるのではないか。

一次産業の担い手も高齢化が進んでいるが、自動車産業などで培った要素技術を活用すれば、もっと生産性が上がるはずだ。農業も企業化・大規模化の方向だけでなく、高齢者や新規参入者でも農業をやり続けられるハード・ソフトの開発も必要だ。

介護は、高齢者や病人だけでなく、高齢化社会になるなかで、100%元気な人というのはごくわずかとなり、現在、多くの人が眼鏡や入れ歯をしている程度に、弱ったり、欠けた部分を補うハード・ソフトの市場は大きいはずだ。また、一人暮らしの高齢者や病人を見守ったり、いざという時の助けをしてくれるハード・ソフトももっと開発されてしかるべきだ。

先日も、母が転んだ時に起き上がらせる・床からベットに持ち上げる機器は無いかと調べたところ、そうした機器は、老人ホームなどの施設向けで、家庭には大きくて重すぎたり、想定がベットから車椅子に乗り移らせるというもので、床に転がって丸太ん棒のようになっている人を救い上げるという想定ではなかった。おそらく、在宅での介護に必要な小型で多様なシーンを想定した道具や機器は、あまり開発されていないのだろう。

介護保険制度で1割負担でリースするため、機器メーカーもそうした高額なものの開発にしか力を入れていないように見受けられる。

北海道での例の知的クラスター創成事業で唯一実用化に近かった北大から東大先端研に行った伊福部先生が開発した人工咽頭などがそうだ。

福祉工学で検索したら、生活支援工学系学会(ライフサポート学会、日本生活支援工学会)、日本リハビリテーション工学協会、日本福祉用具・生活支援用具協会、計測自動制御学会、日本ロボット学会、日本人間工学会、電子情報通信学会などが一緒にシンポジウムをやったりしているらしい。このほかにも、日本福祉工学会、健康福祉工学会などが出てくる。

日本では、充電したバッテリーを提供するサービスのような仕組みを作るのは下手でも、上記のようなハード・ソフトを開発するのは得意なのではないか。

ホンダをはじめ、多くの企業がロボットへの関心を高めているのも、ロボット開発には、さまざまな要素技術が必要で、こうした「誰でも要介護者という社会」に向けて市場への展開を考えているからだろう。ここに、多様なロボット・メーカーの紹介が掲載されている。愛知地球博ではロボットが目玉の一つだったが、不況の折、早く実用化させて欲しいものだ。

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