フランスの子育て支援と日本が模索する24時間介護
今朝のテレビでフランスの子育て支援についての報告があった。
とても手厚いもので、子供の数に応じて手当てがもらえる(3人子供がいたら働かなくてもよい水準とのこと)。
また、3歳までは、資格を持つ保育ママが家に来てくれる、あるいは数人を預かってくれる。その後も保育園(幼稚園のように小学校入学前の準備をする)があり、必要に応じて夕方7時まで預かってくれる。所得に応じて費用を支払うが年収の1割?が上限とのこと。小中学校無料で、また必要に応じて、遅くまで預かってくれるらしい。
要は、専業主婦で子育てに専念するもよし、子供を預けて仕事をするもよし、生き方を選択できるとのこと。子育ては、母親にという強迫観念を持たずに済むようになっている。
また、国力保持のため、子供を産み育てることは重要なことと一般的に思われている。
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考えてみれば、企業は仕込みをしてこそ販売ができるし、人間だって食べて排泄するから生きているのであって、国の持続性を考えたら、少なくとも、生死のバランスが取れるようにするのは組織として当たり前のことである。
子育てを個人の自由と責任に任せる(放任する)のは、国の統治として無責任だ。もっと戦略的に、人口維持ないし増加を考え、必要な手立てを講じるべきだ。
エネルギーなどの資源を手当てするのと同じように、人間の手当てをすべきなのだ。これをしてこないで、個人に任せっきりにし、今になって人口減少が明らかであると青くなるのは、全く無策としか言いようがない。
安易に外国人労働力を入れるなどと経済面だけで考えるのもおかしい。もちろん多様性の受け入れという別の意味はあるとしても、国の根幹である人口については、もっと戦略的に考えて可能性のある手立てを講じるべきであろう。
自民党が嫌われたのは、国民の声を吸い上げる機能が衰えたからである。業界団体が省庁縦割りにそれぞれくっついていて、その声を吸い上げていれば高度成長できた時代には、この仕組みで上手くいっていたのだが、そうではなくなった現在、生活する人の声を吸い上げる機能が必要である。
公明党や民主党は、自民党に比べれば、無党派層を含む生活者の声を聞ける立場にあるので、まだ少しはよいかということだったのだと思う。もちろん、公明党は創価学会という団体が裏にあり、民主党も労働組合が裏にあり、多くの無党派層とは若干ずれているのだけれど。
産業界にしても、本来は市場でもあり、労働提供者でもある自国の人口は重要なはずだが、産業界は、必要なら市場も労働も海外に求めればよいので、第一義的には、人口を維持・増加させることを必要としない。むしろ、女性は子供を生み育てるハンディのある労働力であると基本的には捉えていた(表向き男女の機会均等を言うものの)。
国力ということを考えるのは、本来、政治であるはずだが、産業界に向いていた自民党には、子供を生み育てることが重要な政治課題であるとは認識されていなかったのだろう。
民主党も子供は社会で育てるなどと言っているが、それは福祉政策的な観点であり、国力という観点からの必要性からではないように思われる。
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夜のテレビで、民主党の介護担当の議員が、折角政権交代をしたのだから、現在の介護制度が家族を少しも楽にさせていない、24時間サポートできる体制づくりをしたいと厚労省の官僚らと勉強会をしているとのこと。この人は、子供の頃から介護の大変さ、それが今後ますます大変になることを認識していて、ヨーロッパなどでも介護関係の留学をしたり、日本でも介護の現場を体験しているとのこと。もちろん実現にあたっては、国民への負担増を考えざるをえないとのことだが。
この考え方には、全面賛成だ。
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子育てを政策的に支援し、介護を24時間サポート体制に持っていくことは、不可欠だと思う。しかし、それには、大きな財政負担を伴うのも確かである。
一方で、それにより、新しい雇用の場も生まれる(保育や介護)し、子育てや介護から開放される家族が労働力として働いてくれるという面もある。
国の制度が整うことも重要だが、これを社会企業家的に解決する手立てや、ある地域が自主的に制度化するという方策は考えられないものだろうか。
北欧などでは、実験的にある地域で成功したことを全国化することはよくある。日本でも、社会企業家やある地域の自主的な動きから暮らしやすい生活イメージが具体化することを期待したい。
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