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April 25, 2010

縮小論的地域社会の構築を目指す:熊本大徳野教授

『SRI』の記事の続き。

熊本大学の徳野貞雄教授は、日本全体で人口減少するなか、地域振興といって人口を増やす発想(現在の政策は、Iターンに期待したり、都市との交流などが図られている)には無理がある、縮小を前提にした展望を描くべきであると述べている。

これはもっともだ。

徳野先生は、家族と世帯を一緒くたに考えているが、実態調査をしてみると、高齢者だけの世帯を他地域に住んでいる子供たちが結構頻繁に見たりしていることに着目し、こうした関係をどのようにつくり、強化していくかが大事であるとしている。

・自分を中心に中核となるのが30人:家族、親族など無条件で助け合える人

・その周辺が200人:利害関係抜き伊にサポートしてくれる知人、同僚、近隣の人たち

・さらにその回りに、自分のいうことを一応受け止めてくれる人が2000人くらいいる

昔の社会を考えると、大字である自然村の人口規模はだいたい4000人くらいだった。人間は、個体識別して知り合いになれるのが3000人くらいといわれ、これが基礎集団に相当する。

車社会という広域型分業社会のなかで、個体識別と相互扶助が成立するシステムをどう再生するか、それが集落の維持・再生の今日的課題であるとしている。

限界集落の定義には、①集落の65歳以上の高齢化率が50%以上、②社会的共同生活の維持困難の2点があるが、行政では数字が出しやすいので専ら①で議論されている。しかし、前述のように、他地域に出ている子供たちなどとの連携が実際にはあり、それを考えると、高齢化比率が高くても、生活が成り立っている場合がある。車で1時間半以内に家族が住んでいれば、行き来できる。

・こうした実態を調査するのを「T型集落点検」(おそらくTは教授の名前からだろう)という。

・たとえば、ある部落では、在村者20人、他出している子孫が152人もいる。

集落の存続、活性化の政策モデルというと、農業の規模拡大、6次産業化、都市農村交流などが出てくるが、こういうのはコンサルを儲けさせるだけ。大事なのは、中核的兼業農家を集落のなかに作ることであるという。

その前提として、「兼業農家が現代社会において、最も豊かで安定した階層である。」という認識がある。収入が多いというよりも、生活全体の充足度が高く、安定している。

独居世帯、夫婦世帯、中高世帯を多世代同居の兼業農家が支え、これらの世帯の子供が帰ってくるのを待つ。20戸の集落で多世代同居家族が5戸あれば、他の独居、高齢者世帯が生活できる。

・小国町で、夏休みによそに出た孫を呼んで自然体験をしたら、村総出の行事となり、子供(孫)たちが楽しくて家に帰らなくなり、久しくこなかった嫁が迎えに来た。

・都市農村交流などを事業としてやっているが、全く知らない人と交流するよりも、つながりのある人と交流したほうが良いに決まっている(却って軋轢もあるのだろうか・・)。親族等と交流できる仕組みを考えるべきであるとのこと。言われてみればもっともだ。

・町で結婚50周年の祝いをし、葬式で家族が集まるのではなく、生きているうちに家族が集まるよう、会社には有給を貰うなどの工夫も良いだろう。

田舎には、「職場」は少ないが「仕事」はあり、いろいろと兼業すれば食べていける。むしろ、これがこれまでの普通の生活だった。

言われてみれば、そうである。

かつては、会社が共同体として機能し、住み心地がよかったが、今日では、一人の人間・それも一生を付き合うということはなくなり、技や能力を切り売りするようになっているビジネス社会は、虚しいものである。

○○さんという一人の人間として認識され、その得意分野で助け合う(それが仕事になる)という意味で、高齢者であっても、一人ひとりがなんらかの仕事を探せる(人の役に立つ)という意味でも田舎や兼業の暮らしは、人間的といえる。

「地域」はセーフティネットであると思ってきたが、昔の共同体のように、どうしても無くてはならないもの、アイデンティティにするにはどうしたらよいのだろうと思ってきたが、山手線の内側のグローバル競争をしている企業に勤める生活以外の人たちが、「兼業」しながら相互に助け合える暮らしをするようになると、これは、人間らしい生き方として、アイデンティティになれるし、互恵となれば、共同体のようになれる可能性がある。

量販店より2割くらい高いが地元の人が喜んでそこから購入する家電小売店がテレビで紹介されていた(町田市のでんかのヤマグチ。方法は、月に一回くらい御用聞きに担当者が回るらしい。すると、ちょうど電球が切れたとか、換気扇を取り替えたいと思っていたなどのニーズに出くわす。

私もライフバルのガス屋に助けられているが、これから一人暮らしや高齢世帯が増えるなかで、御用聞き、何でも屋へのニーズは高まる。一方で騙されるという怖さがある。そこで、顔見知り、店が近くにあるという関係性を構築できれば、安心して家のなかに入れられる。

これは、限界集落などだけでなく、都会や都市近郊でも、未来の姿かもしれない。高齢者団地などで声かけ運動のようなものをしている例があるが、チラシを配るなどよりも、高齢者が必要な高いところを作業するなどだと、両方にメリットがあるはずだ。単なる声かけだと、申し訳ないとか、偽善的な匂いがつきまとうが・・。

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