コミュニティ・ガバナンス
この言葉で検索すると、まず、WIKIでは「地域コミュニティにおける民主的なルールづくりに向けた運動のことをいう」と定義され、「今日、地域コミュニティにおける市民をはじめとした地域構成員間の信頼とネットワークの密度を意味するソーシャルキャピタル、地域における問題解決能力を意味する問題解決力と並び、地域力の構成要素のひとつとして考えられる」とある。
なんかちょっとヘンな気もするが、一応紹介まで。
いろいろな本も出版されているようだ。いくつか紹介すると;
1.自治体学会編『コミュニティ・ガバナンス-誰がが何を決めるのか』2004年学芸出版では、特集で座談会が組まれており、「一人ひとりを基礎としたコミュニティ・ガバナンスへ-市民、家族、地域、自治体の「関係」をつくるために」というのが掲載されている。
2.その後2008年には、山本啓編『ローカル・ガバメントからローカル・ガバナンスへ』法政大学出版局から出されている。公民パートナーシップや市民参加の可能性、自治体内分権が扱われ、ローカルなレベルにおける「コー・ガバナンス」(共治・協治)への構造転換が書かれているようだ。
このほか、合併の過程で生まれた地域自治組織(合併特例区、地方自治区)を活かした取り組み、自治基本条例、議会の在り方、生活圏ごとの住民自治組織などなど。
興味をそそったのは、竹井隆人『集合住宅デモクラシー-新たなコミュニティ・ガバナンスのかたち』2005年、世界思想社で、アマゾンの内容紹介によれば、セキュリティの問題やアメリカの事例に言及しつつ、集合住宅における住民自治組織が「私的政府」として政治的権能を振るうことにより、わが国における未達のデモクラシーが成就されうる可能性を呈示するとある。
例の板橋区の緑の団地の事例を連想する。
吉原先生の無料で読める論文記事などは見当たらない。先生のオフィシャルサイトでは、町内会などを丁寧に調査されているらしい。
大内田鶴子『コミュニティ・ガバナンス』2006年、ぎょうせいは、町内会の新しい動き(宝塚市)や日本の昔からの火消からはじまる町の組織や五人組の意義などを書かれているらしいので、図書館に予約。
ローカルガバナンス研究所(木原勝彬)のPDFは、私が思っているようなことが書かれているようだ(生活圏ごとの住民自治組織)。
総務省で「コミュニティ組織のガバナンスの在り方に関する研究会」というのを21年末から22年2月にかけて開催したようだが、会計事務などが中心か。報告書は、こちらhttp://www.soumu.go.jp/main_sosiki/kenkyu/new_community/18520.html。国が上から目線でコミュニティ・ガバナンスを論じたりするのは本末転倒のような気がする。
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昨晩、本間さんとも議論したが、本来自治というのは、地域の人々がこうしたい、こうありたいというのが先で、それを地方自治体や国が認めるなどの方向のはずなのに、日本の場合には、国の方からこういう姿や運営方法が良いなどと決めて、全国的に枠組みをおしつける(提案する)。これはヘンだ。
本来、自発的に起こる自治なのであるから、地域地域によってやり方も形も本来異なるはず。(もちろん、どうしたら自発的に起こるのか、どうしたらうまい運営が可能かなどは、学者としては考えるべきであるが)
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