国税と地方税
西東京市の税金について調べたのは、一つは、サラリーマン依存の税収を今後変えていくとしたら、どんなことが考えられるか(新産業を起すとしたら)ともう一つは、所得税(国税)と住民税(地方税)ではなく、全部住民税にしたらどうなんだろうと考えたことによる。
国にまず税金を支払って、国が補助金や交付金で国の決めた方向性に則って、地方に交付する方式が地域の自立を阻んでいる気がするからだ。
また、国家公務員にあんなに優秀な人材を抱え込む必要はないと思う。優秀な人材は、もっと地方で活躍すればよい。財政改革や公務員改革をするといっても、既得権益があるので、それを(自らが)変えにくい。
だったら、先に、あるべき地域の姿を描いて、税制を変え、必要な経費だけ国に提供すれば、国は小さくなれるのではないかと思ったのだ。国が税の再配分をするのではなく、地域が国に必要な経費を支払うという発想だ。
井上ひさしが東北のある村が独立する小説『吉里吉里人』を書いたが、日本国に依存せず、独立することはできないのだろうか。あるいは、防衛や外交など、国に任せる部分にだけ税金を回すように考えたらどうなるのだろうか。(たしか、吉里吉里国では、軍隊も自ら持っていたが。)
そう思って検索してみると、租税負担率の国際比較という図が財務省のHPに掲載されている。これは、そこからコピーしたものだ。
これによれば、日本(2008年度)は、国税13.0%、地方税(都道府県税を含む)11.2%となっている。2009年度から、地方税に少しシフトしたはずなので、おおまかに半々と言える。
西東京市の税収は650億円で、うち自主財源が360億円なので、ざらっと考えると、国などから交付されるお金がなくても、税金を全部西東京市が徴取すれば、やっていけることになる。
アメリカは、州による「連邦」の国なので、もっと地方税の比率が高いかと思ったが、12.5%と11.5%(州6.6%、地方4.9%)で租税負担率でみる限り、日本と余り変わらない。国から地方への交付金もあって、低所得者向けの医療補助制度(メディケイド)が4割ほど、そのほか、所得補償、教育・訓練・社会サービスなどとなっているらしい。
EU(欧州連合)の予算はどうなっているのだろうか。
欧州連合には、欧州連合理事会、欧州委員会、欧州議会の3つの運営機構が設置されている。運営にあたっては、加盟国の拠出金で運営され、年間の予算額は、2007年で1160億ユーロ、域内総生産(GDP)の約1%程度と言われる。
(外務省のHPによれば、2005年に、116,554百万ユーロで約15兆円、日本の平成16年の一般会計予算87兆円の約17%である。)
日本のGDPが名目で480兆円だからその1%というと4.8兆円、一般会計予算の5.5%くらいにあたる。
要は何を言いたいかというと、GDPの5%くらいを地方から中央に提供し、中央政府は、それによって、農業政策(環境保全政策)、地域格差政策、外交政策にのみ専念する(防衛費はこの場合別)という姿になるということ。
欧州連合の収入は、大きく3つあり、①伝統的固有財源、②付加価値税に基づく固有財源、③GNIに基づく固有財源である。
①伝統的固有財源:欧州連合域内に輸入される商品に課される関税(輸入した国は、手数料として25%を得てよい)
②付加価値税に基づく固有財源:各国で付加価値税率が異なるので、調整される。
③GNI(国民総所得)に基づく固有財源:各国のGNIに基づいて算定される。収入のなかでもっとも比率が高い。
歳出のなかで、最も大きいのが共通農業政策関連の支出で、予算全体の45%に達する。次に大きいのが地域政策の30%、外交政策の8%、運営費用の6%、調査研究費の5%。
共通農業政策は、農家に対しては、適切な生活水準を、消費者に対しては適正な価格で良質あ食品を提供すること、さらに、農業という文化的遺産を保護するとされている。
地域政策は、地域間格差を無くすための政策である。
欧州連合については、WIKIを参照にしたが、データが古いかもしれない。
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