コミュニティデザイン デザイナーは黒子 公園の例
遅ればせながら山崎亮さんの『コミュニティデザイン-人がつながるしくみをつくる』学芸出版社2011年を読んでいる。
ちょうど、昨日は、NHKのクローズアップ現代でも取り上げていた。
この本では、空間デザインを主にしていた山崎さんがこれでは何か不足していると感じ、建物の設計だけではなく、人と人がつながるしくみをデザインすることに向かっていった経緯がよく分かって面白い。
でも、こうして本になったり、NHKで取り上げられ、「山崎さんがやった○○」となってしまうことを危惧する。これは山崎さんのせいではなく、取り上げられ方のせいなのだが。
山崎さんがその地域に係る人と人がつながる仕組み(ソフト)をデザインし、そのために、調査やワークショップなどを重ねて、その仕組みが上手く動くようにしているのは確かなのだけれど、山崎さんがやった「成功事例」として情報が伝播してしまうことは、間違って伝わりそうで困惑する。
山崎さんは、あくまで部外者(よそ者)であり、仕掛け人ではあるが、それに上手く乗り、日々を積み重ねているのは、地元の人たちである。
海士町も、「山崎さんがやった成功事例でしょ」と知人数人から軽く言われ、行政の若手やU/Iターン者のこれまでの努力がすっかり抜け落ちて伝わってしまっていることに、ちょっと残念というか、怖さを感じた。
海士町は、確かに、これまで行政主導でU/Iターン者を上手に使って産業振興策をしてきたのだが、そこから、Iターン者を中心にはじめられた人づくりや住民を巻き込んだ長期計画づくりへと階段を上がってきた。
住民を巻き込んだビジョンづくりは、確かに、山崎さんや山崎さんのオフィスのスタッフで現在も海士町で集落支援員として活動している西上ありささんの功績といえる。長期ビジョンづくりに、ようやく住民を巻き込むことができたが、これが本物になるかどうかは、これからの課題だ。
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ところで、この本に書かれている「仕掛け」は、すぐにでも、地元で活用できそうだ。
たとえば、NHKでも事例として取り上げられていた三田市の有馬富士公園。
他の公園では、お客だけが遊んで帰り、管理会社の人と出会うことは稀だが、ディズニーランドでは、「キャスト」がお客を楽しませてくれる。しかし、予算のない公営の公園で「キャスト」を雇うことはできない。
そこで、市民の団体に公園を来園者とともに楽しく使ってもらうことにした。これまで、予算がなくて広報が十分できない・・、発表の場がなくて・・といっていた市民団体の人たちに、園内でさまざまなプログラムを実施してもらうことにした。
竹ひごと和紙で和凧をつくり凧揚げをする、園内のため池で水辺の生き物を観察する、園内の里山で遊んだり自然観察をする・・など。屋内では、パソコン教室や演奏会など。
どのコミュニティでも楽しそうに活動するので、市民団体も来園者も一緒に楽しむ。いわゆるボランティア活動とは全く違う。この活動がどんどん広がり、来園者も増えているという。
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先日、府中の森公園の売店前と小金井公園の江戸東京たてもの館の子宝湯で合唱のミニ・コンサートをする機会に恵まれた。どちらも、肩ひじ張らないまちなかコンサートだ。どうやら、東京都では、公園の使い方を模索しているようだ。
西東京市でも、市民まつりとか、アースディの時だけでなく、いこいの森公園を有馬富士公園のように、市民団体が日常的にさまざまなプログラムを実施し、やる人も来る人も楽しい公園管理にしたら、もっと活性化するのではないのだろうか。
いこいの森公園は、私の家から遠いので、実際には、そうなっているのかもしれないが、以前、散歩した折には、老夫婦がちらほらと散歩している程度だった。
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コメント
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小金井公園の江戸東京たてもの園は、このみさんの言うようなボランティアさんたちがたくさん
活躍してもらう仕組みをしているようですよ。
僕が以前所属していた落語とか南京玉すだれをやる演芸サークルもそこに協力させてもらっていた。
いこいの森公園も、そのような感じで楽しい公園にできたらいいですよね!
投稿: 鈴木剛 | 2011年10月20日 (木) 01時45分
鈴木さん、早速にコメント、有難うございます。このところ、風邪が治らず、久し振り書いてます。風邪薬に入っている眠り薬が効いて、眠ってばかりでした。
さて、江戸東京たてもの園、当日は、確かに、いろいろなボランティアの方がおられました。かわら版屋みたいな人が子宝湯に客を呼びこんでいました。
投稿: このみ | 2011年10月20日 (木) 02時34分