第一期生の「あったらいいな」
1.故郷久留里に若者を
20代女性のDさんは、都内の区役所に勤めている。彼女は、大学4年生の折に、私の大学院の授業を聴講していたご縁で、養成講座の情報をネットで得て、遠くから通ってくれた。
勤務先の地域の活性化が目的かと思ったら、そうではなく、故郷(千葉県君津市)久留里の活性化を目指していた。
故郷が大好きなのだけれど、若者に適した就職先がないため、親も東京に行けという。でも、なんとか久留里に若者が働ける場所を増やしたり、人を呼び込んだりして、若い人が久留里に増えることを目指している。
講座終了後、早速「久留里のファンサイト」を作り、地元で久留里の活性化を目指してつくられたNPOとも連携を取ったり、先日は、お祭りに女性神輿を担いだりと動き始めた。
他の受講生も久留里が良いところのようなので、この夏応援ツアーを企画している。
仕事をしながらの故郷支援なので、何をすぐにどうこうではないが、想いを実現するためにいち早く一歩踏み出した。
2.自分らしい死に方(この世とのお別れの仕方)
Aさんは、田無ソメ研のメンバーでもあり、既に、一期倶楽部というNPO葬を進めており、さらに、自分らしいこの世とのお別れの仕方についていろいろとアイデアを温めている。
これについては、かなりプランが煮詰まってきているようだが、企業秘密なので、ここまで。
3.ポスティング3.0を生み出す
伊勢原をベースにポスティングの事業をやっているASさん(感動・創庫)は、ネットが普及するなか、紙媒体だけで乗り切れるのだろうかとの課題を抱えて、平塚から毎週通ってきてくれた。
いろいろな受講生との議論を経て、彼は、ポスティングという人間が配布する紙媒体の可能性を再認識することになった。
与えられたチラシをただ配布するのがver1.0なら、顧客の求める反響(利益と結びつくこと)を得られるチラシを制作して配布するのがver2.0、現在がこの段階であるという。彼は、さらに、チラシを地域のソーシャルメディアに進化させることをイメージしており、これをポスティングのver3.0と呼んでいる。
顧客を企業だけでなく、NPOや行政などに広げたり、企業であっても、単に収益アップを目指すだけでなく、CSR的な企業のイメージアップなどにも広げようと考えているらしい。また、ポスティングする人も地域に住んでいる信頼できる人たちなので、チラシをただ配布するだけでなく、双方向的なコミュニケーション手段にしていきたいと考えているようだ。
さらに、田無ソメ研のように、老若男女が地域をよりよくしていこうと話し合えるプラットフォームを地元にも作りたいと伊勢原ソーシャルネットワーク研究会を早速立ち上げた。
4.地域の防災を考えるSIG
養成講座に当初オブザーバー的に参加してくれていたNさんが、地域の防災の在り方について考えるSIG(スペシャル・インタレスト・グループ)を提唱し、これに共感する人たちが別途、研究会を始めた。
防災は、3.11の記憶も新しく、特に、お子さんのいる受講生にとっては、関心の高いテーマのようだ。防災ゲームなど子供たちに教育するツールについても検討したい意向のようだ。
5.病気でも自分らしく生きる仕組み
町田市から通ってくれたIさんは、ご自身も若い頃から「難病」に苦しんできた。
「難病」は、「障害者」のような制度的な支援がなく、経済的にも精神的にも厳しい状況に置かれている。「難病」と表明すると、就職や結婚に差しさわると思い、隠している人も多く、一人で悩みを抱えがちという。
彼は、これまで福祉分野で働き、人の悩みを聞いてあげたり、解決してあげたりしてきた。この経験を活かして「病気でも自分らしく生きられる仕組み」、「病気をプラスに考えられる仕掛け」をつくりたいと願っている。
彼自身、体調に波があり、毎日朝から晩までという普通の勤務が厳しくなったため、この春から、体調に合わせて仕事ができるようサラリーマンから自営業へと舵を切ったばかりだ。
このため、あれもやりたい、これもやりたいと思いつつも、自分の生活基盤も立て直し中なので、なかなか前に進めずにいる。
家族の支えもあり、養成講座としても支援したいと願っている。焦らず、息長く見守りたいプロジェクトだ。
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このほかにも、行政と市民と大学など、地域のステークホールダーが協働でまちづくりをするプラットフォームを構築したいと、まずは、子育て分野に焦点を当てて動きはじめた人、インターネットを使ったラジオやテレビで地域の人材を紹介・ネットワーク化したいという人など、それぞれの「あったらいいな」に向かって、皆、少しづつ踏み出し始めた。
第二期が終了する7月22日(日)には、第一期生の同窓会も兼ねているので、彼らの最近までの経過報告が楽しみだ。
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