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2012年8月

2012年8月10日 (金)

屋根を借りるエネルギー事業

7月30日に、多摩市で行われた『第四の革命』の上映会に行ってきました。

●多摩市循環型エネルギー協議会

この映画は、いろいろなところが上映会を開催しているのですが、今回は、「多摩市循環型エネルギー協議会」の開催で、この協議会は、ソーラーパネルを公共施設等に設置する事業会社を始める予定のようです。

前に飯田市の「おひさま進歩エネルギー(株)」のことを書きました

ここも、地域の屋根を借りて、ソーラー発電をしている会社です。ソーラーパネルを設置するのに、その家自体はゼロ円で設置できる方式です。そのための設備投資には、市民からファンドを募っています。

多摩市循環型エネルギー協議会も、おひさま進歩エネルギー㈱のように、屋根借りによるソーラー発電や、大規模団地などにソーラーパネルを設置して、エネルギーの地産地消を目指すようです。また、市民からのファンドも募る予定のようです。2012年5月12日に発足したばかりですので、HPを見る限りは、まだ具体的な動きにはつながっていないようですが、いち早く動きだしたのは、羨ましい限りです。

●一戸一戸がやるのは大変そう

西東京市のHPによると、市の補助も始まるようです。このほか、国や都からも補助金を得られますが、どうやら、それぞれ申請するみたいで、このページを見るだけで頭が痛くなります。

太陽光発電の補助金を一覧できるサイトがあり、ここに西東京の例が載っています。ここでは、市の助成は未確認とのことですが、国や都の補助金のこと、電力買い取り制度のことが分かりやすく書かれています。

まず、太陽光発電設備を導入すると、国(10.5万円)と都(30万円)の補助金を得られます。電力会社が(一般家庭なら10kw未満の場合)1kw当り42円で10年間買い取ってくれるから年間6万~20万円(10年間で60万~200万円)の補助金を得られることになると書かれています。

この制度により、一般家庭でも、設備を設置して売電すれば、設備投資の回収は、7年から13年くらいでできるとあります。

でも、なんだか面倒くさそうです。循環型にしようという意欲はあっても、複数の業者から見積を出させたり、市、国、都などに補助金申請の書類を申請するのは、とても大変そう(業者が代行してくれるのかもしれませんが)。

まぁ、地球のことを考えるなら、面倒がるのはなにごとかと言われるかもしれませんが、一般の人にとってハードルが高いと普及しずらいのも確かです。

●西東京にも、こういう屋根を借りてくれる業者がいたらいいなぁ

怠け者で恐縮ですが、西東京にも、おひさま進歩エネルギー㈱のような業者がいてくれたら良いのにと思います。

友人が参加しているNPO法人エコメッセでは、エコメッセ八王子が「結の会」の福祉作業所にパネルを設置しているほか、エコメッセ練馬が太陽光パネル(市民発電所)を4ヶ所(武蔵大学、大泉双葉幼稚園、三育小学校、保育所「ごたごた荘」)に設置しているとのこと。

多摩地域で、「西東京市が1番のパネル設置、あるいは売電の多い地域になるぞ」とか、特色を打ち出したら良いのに。

2012年8月 3日 (金)

合併による財政特例と取捨選択のための方策

ゴミについて述べたのと同様、地方財政についても、素人では、なかなかデータを読み込みにくい。

西東京市は、田無市と保谷市が合併して今年が10年目になる。

『西東京市の合併10年のあゆみ』というパンフレットを市のHPから入手することができる。上記パンフレットでは、合併によって得られた財政的なメリットや経費削減が進んだことが書かれている。

先日、「これでいいん会西東京」という団体が開催したNPO法人多摩住民自治研究所理事長の大和田一絋先生の地方財政についての講演会があり、そこに参加した。

以下は、先生のご説明と上記のパンフレットから私なりに作成したものである。

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1.合併を促進するための飴

まず、財政危機もあって、政府が主導して「平成の大合併」が進められた。合併を促進するためにアメとしてとられた措置に大きく2つあって、①合併算定替と②合併特例債である。

①合併算定替

合併算定替を理解するには、現状、多くの地方自治体の財務は、自ら確保する収入だけでは成り立たず、国から「交付税」を配分してもらって成り立っているという前提がある。

本来、A市とB市が合併してC市が出来た場合、ムダが排除され、交付税が減少するはずであるが、10年間は、合併しなかったこととして交付税を減らさないことを保障し、その後5年間は、徐々に減らし、合併16年目で本来の交付税になるという制度である。Gappeisanntei_3

ただし、2001年度から交付税を算定するのに用いられる「基準財政需要額」が圧縮されたので、交付税そのものは合併のいかんにかかわらず、減少した。

②合併特例債

これは、合併後10年間のハコものに限定した特例債事業について、元利償還金のうち95%(上下水道、病院事業に係る出資および補助は地方債100%)を地方債で組むことができ、しかもそのうちの70%が交付税で措置される。つまり、自治体の負担が3分の1で済むというもの。

2.西東京市は、合併によって大きく水ぶくれ

上記パンフレットによれば、合併により、10年間で約450億円の財政支援措置があったとされている。

①西東京市の合併算定替

普通交付税以外にも財政支援措置があるようだが、普通交付税に限ると合併算定替による増加分として、平成22年度には約10億円が計上されている。10年間では、合計で約140億円が水増しされた計算になる。

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現在の西東京市の歳入額は、平成22年度(2010)で680億円、うち6.3%にあたる42.5億円の普通交付税が交付されている。

上記パンフレットには、合併によって議員数や職員の数が減少するなどにより、10年間で約160億円のコスト削減効果があったことが謳われている。しかし、合併後10年間ないし15年間は、本来よりも多目の予算が組めたため、危機意識が薄れ、本来やるべき合理化がおろそかになっていたきらいはないのだろうか。

平成22年に約10億円下駄を履いている分が、今後5年間かけて減少し、6年目に当たる平成28年(2016)には、ゼロになるという覚悟が必要である。

②西東京市の合併特例債

合併特例債によって、市の負担は3分の1で様々なハコものを作ることができた。

合併特例債を使用した事業は、31あり、主要な事業としては、いこいの森公園をはじめとする公園整備、小中学校の整備、保育園や児童館施設の整備などが大きい。

上記パンフレットによれば、合併特例債により、248億円の起債を行ったとある。

確かに、合併特例債により、市の能力よりも大きな事業が行えたというのは、市民にとってメリットではある。しかし、そうはいってもこれにより、負債が増えたことに変わりはない。

西東京市財政白書』平成22年度によれば、平成22年度の市債借入額は、87億円で過去最高となった。しかし、合併特例債では7割、臨時財政対策債(注)では10割が交付税で賄われるため、市の負担としては、27億円となるとのこと。23年度が33億円で市債借入額のピークとされている。

市債の元金および利子等を返済する償還費のことを「公債費」と呼ぶ。これは、平成22年度には55億円、公債費のピークは26年度で70.5億円と予想されている。これについても、交付税で賄われる分があるので、市の負担としては、毎年20億円程度で推移するとされている。

『財政白書』によれば、公債比率(標準財政規模に対する公債費の比率)は、今後とも、6%前後で、類似の自治体と同程度とのこと。

しかし、将来的に歳入が現在と同程度と仮定してのことと思われ、今後、生産年齢人口が減少し、税収も減ると思われるうえに、前述のように合併算定替の下駄も無くなるなかで、確実に支払わなければならない公債費が20億円あるということを意識する必要があるだろう。

さらに、これは、新たな借金をしないこととして考えている訳だが、現在、市庁舎を1つにするという話もあり、立て替えということになれば、新たな借金も増えることになる。

③老朽化した公共施設やインフラの更新

また、地方自治体にとって、頭が痛いのが、今後、さまざまな公共施設やインフラが老朽化し、それを更新する時期が近づいていることらしい。

「将来の膨大な修繕費用が隠れ負債化している」と言われる。

西東京市では、平成19年10月に『施設白書』が作成されており、2017年(平成29年)ぐらいから建替え経費が増えていくとされており、2028年までの20年間に383億円が必要とされている。

3.財政が厳しい中で、取捨選択するには、未来についての市民対話が不可欠

この記事は、合併による飴の話と施設更新の話を中心に作成したが、このほかにも、財政を厳しくしている国民健康保健事業や下水道事業など、普通会計から赤字を補てんしている事業の問題などがある。

いずれにしても、財政が厳しい中、これまでは、合併特例、あるいは、工場跡地にマンションが建ち、人口が増加しているといった特殊な要因で厳しさが目立たなかった面があるものの、そうした「特例」が無くなる中、今後、より厳しい運営が求められる。

そうなると、総花的に支出する訳にはいかず、どのような暮らしを望むかという市民を巻き込んだ取捨選択の合意形成が必要になる。

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先日、東洋大学が来年度から新たに開設するPPP(パブリック・プライベート・パートナーシップ)の講座の宣伝を兼ねたシンポジウムがあった。

PPPは、官民連携と聞こえは良いが、これまでの実態は、NPOなどの民にこれまで官がやっていた事業を安価で委託するというものが多かったように思え、余り好きではなかった。しかし、東洋大学でこれからやろうとしているのは、財務の健全化のために、官民が協力しあうというところに力点を置いているようだ。

このため、アメリカで導入されている①シティ・マネージャー制度や②バランス・バジェットという考え方から、日本が学ぶべきことについての講座を設けるという。

この考え方の背景には、現在目に見えている財政の悪化に加え、社会資本の老朽化という見えない負債という爆弾を抱えているという危機感がある。このため、東洋大学では、「社会資本の老朽化と更新投資」について算出できるソフトを公開しているとのこと。

今回のシンポジウムで興味深かった意見:

1.根本先生:鳥取市が市庁舎を建てるかどうかについて、住民投票を行った。①新規に建てるか、②修繕して使うかについて、それぞれにかかる経費を示し、結果②が勝った。こういう情報公開をして住民に問うというのは、良いやり方だが、もしかすると、他の選択肢も示すべきだったのではないか。たとえば、他の予算項目を減らして建替える場合はどうかなど

2.ロバートソン氏:バランス・バジェットには、①バランスを崩している原因の究明、②均衡させるための選択肢、③6つのステップで検討、④最終的な提案を学ぶ必要がある。これらは、来年度から始まる講座で教えるとのことで、特に地方自治体の人たちに入学を勧める内容だった。しかし、今一つよく分からないので、質問をしたところ、受けてくれ、以下のような面白い話をしてくれた。

カリフォルニア州オークランドでやった例では、たとえば、公共サービスを1ヶ月休みにして、電力量やエネルギー費を浮かせたりした。市民の理解を得るために、新聞に記事を掲載したり、対話集会を開いたが、そのほかにも、警察官の人員を削減し、治安が悪くなることと、税金を上げることと、どちらが良いかなどをゲームのようにシュミレーションできるようにし(WEBで公開)、市民の理解を深めるなども行ったという。

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つまり、市民に、財政をバランスさせるためには、公共サービスを減らすのがよいのか、増税がよいのか、それによるプラスマイナスの効果を理解してもらうために、さまざまな情報提供や気づきが起こるように工夫したという訳だ。

当日の日本の先生方は、財政バランスという経済の側面を重視した話し方をしていた。しかし、フューチャー・セッションのことも知っているなかで、このアメリカ人の話を聞くと、市民を巻き込み、対話によって理解を進めるために、情報公開はもちろんだが、市民がより身近な問題であると理解できるようきめ細かい情報公開をしていること、対話集会だけでなく、ゲームによるシュミレーションといった工夫(ソーシャル・デザイン)を行っていることが想像できた。おそらく、市民を巻き込むうえで、ここが味噌なのではないかと感じた。

他市と比較したゴミ排出量と資源化率

同じく『ECO羅針盤』№9には、近くの地方自治体と比べたゴミ排出量の比較と資源化率の比較の表が載せられています。

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1日一人当たりの家庭ゴミの量では、西東京市は、平成21年度には、ダントツで一位だったのですが、平成22年度には、前述のようにゴミ袋の価格が下がったこともあって排出量が増えてしまい、一方、府中市が頑張ったため、二位に下がってしまいました。

おちゃわんリサイクルにご一緒した市のゴミ担当の職員は、とっても悔しそうでした。折角減ってきたのに、安易にゴミ袋の価格を下げてしまって・・・というのです。

市民としては、「ゴミの分別が面倒くさいなぁ」、「ゴミ袋が高いなぁ」などと毎日家庭でゴミの処理をする度に不平不満を持っていましたが、そのお陰で、東京都下では、一番にゴミ排出量の少ない市になっていたなんて、少しも知りませんでした。

市長が、市民ならびにゴミ担当職員やゴミの搬送業者を称えたり、「日本一ゴミ排出量の少ない市にするぞ」などともっと明言してくれたら、市民も不満を言わずに、ゲーム感覚で一位をキープしようと頑張るでしょうし、ゴミの担当者も誇りが持てるはずです。

こういうのも「ソーシャル・デザイン」でしょう。

皆が楽しみながら、喜びながら、ゴミ排出を減らそうとするように仕向ける・・・こういうことが出来ないとは、首長にセンスが無さすぎます。

一方で、資源化率は、低い方です。これはどうしてなのでしょう。

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おちゃわんリサイクルに参加したお蔭で、西東京市のゴミ排出量が一番少なかったとか、ゴミ袋の代金を下げた分の穴埋めを安易に税金投入で賄ったなど、数字の裏側を知ることができました。

市の広報は、お知らせしていない訳ではないけれど、なかなかこうした意味までを一般の人が読み取るのは難しいです。もっと、市民が理解できれば、自分のこととして地域のことを考えるようになるはずです。


ゴミ処理費用と財源

同じく『ECO羅針盤』№9には、ゴミ処理費用とその財源がまとめられています。

ゴミ処理費用には、家庭からゴミを運搬するのに掛る費用のほか、中間処理、最終処分に掛る費用があります。これが全体で約32億円です(平成22年度)。

これらの費用のうち、私たちが支払う家庭ゴミ収集手数料(ゴミ袋代金)、粗大ゴミ収集手数料(ゴミに応じてラベルを購入)が合わせて約4億円、都からの交付金が約4億円、残り約24億円が市の一般財源から賄われています。このほか、資源ごみを販売して、1800万円の収入があります、

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おちゃわんリサイクルを主催したごみ資源化市民会議が出している『通信』2012年1月12日号では、次のようなことを指摘しています。

それは、ゴミ処理の費用は、平成21年度に比べて、平成22年度には、9600万円減少しており、これは、良いことである。

しかし、上記の表のように、ゴミ袋の価格を下げたために、平成21年度に比べて平成22年度は、家庭ゴミ収集手数料が年間で1億1800万円も減少し、また、都の交付金も4200万円減少した。

この差額を補うために、一般財源が約7000万円増えており、それについて、議会で議論されていない・・・・というのです。

ゴミ袋の価格を下げることは、議員の人気取りとして良い材料だったのですが、それを安易に税で賄って本当に良いのだろうかという投げかけです。



2012年8月 2日 (木)

ゴミの種類別排出量

種類別にみて、資源ゴミが増えるのは、ある意味、資源化するなら良いことですが、生ゴミと不燃ゴミが増えることは、良くないことです。グラフでみるように、どれも増えていますね。

西東京市のHPでゴミ関係のところをみると、『ECO羅針盤』というパンフレットが定期的に出されているようです。7月1日の第11号によると、平成33年度までに家庭ゴミの1日1人当たりの量を毎年1%(約4㎏)減らすことが計画されているようで、生ゴミを減量・資源化するためのモデル事業についての説明があります。

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資源物の内訳をみると、古紙・古布の量が最も多く、次がプラスチック容器となっています。資源ごみが増えるのは、それまで、安易に捨てられていたものが資源化されるので良いことなのでしょうが、資源化にもエネルギーが必要なので、そのまま手放しに喜んでよいのかどうかと思ってしまいます。

昔は、豆腐やさんが売りに来ると、鍋を持って買いに出たものですが、今は、スーパーで、日持ちするようにパッケージ化されて売られています。便利ですが、この容器を再生するのにもエネルギーは使われます。

『ECO羅針盤』№9(平成23年11月1)には、1トン当たりの処理費用が書かれています。

これによると、廃食用油の35万円を筆頭に、ペットボトルやプラスチック容器などの12万円など、結構処理費用が掛かっています。Gomishorihiyo


Shigennuchiwake

西東京市のゴミ排出量と資源化

西東京市は、平成20年1月から、家庭ゴミを有料化し(ゴミ袋の有料化)、分別を細かくするようになりました。この結果、平成19年度4.9万トンであったゴミ排出量が、平成20年度には、4.4万トンへと減少しました。

ところが、ゴミ袋の料金が高いとの不満があり、平成22年10月に料金引き下げが実施されましたら、やはり、ゴミ排出量が増えてしまいました。平成23年度は、平成23年4月から平成24年1月末までの数値を12/10で計算したものなので、実績とは異なりますが、増加傾向は明らかです。

この資料は、おちゃわんリサイクルの折に頂戴した、予算特別委員会資料(平成24年3月13日)みどり環境部ごみ減量推進課によるものです。新しい資料が欲しいのですが、ネットからでは見つかりませんでした。次の記事のデータも同じものを使っています。Gomikei


参考までに、ゴミ袋料金の新旧比較です。出所は、市のHPです。Gomifukuro1

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