とくったー
徳島大学地域創生センター吉田敦也先生が中心になってやっている「とくったー」についての講演会が小平のマイスタイルな夜(2011年2月16日)で行われました。
とくったーの講演資料を頂戴しましたが、資料に沿ってのご説明は、簡単なもので、徳島市とネット回線を結んでの「竹けん玉大会」が主でした。国際的にも広めようと「第一回国際竹けん玉大会」と名付けられました。
東京の西側の多摩地域の人たちとトクッターをやっておられる高齢の方との競争で、制限時間の間の回数を数えましたが、ハテどっちが勝ったのか忘れてしまいました。
早速に田無ソメ研のHPに鈴木さんが報告しており、ここには、その日紹介された体重計(ツイッターIDが入っているとその人の体重が通信され、元気だということが分かる)なども示されています。
とくったーの意図は、公式HPにもありますが、NTTコムウエアのHPに先生のインタビュー記事が載っていますので、ご参照ください。
とくったーを思いつくまでのポイントは、
1.今後、一人暮らしの高齢者が増大する。
2.高齢者の見守りというと、①安否確認、②安心・安全サポート(外的:災害、犯罪、自己、内的:病気、肉体的ハンディ、心理不安)が挙げられる。
3.これまで、高齢者の見守りをするのは、①ヘルパー(有資格者)、②家事代行サービス、③行政担当者、民生委員、地域住民、ご近所さん、④家族とされてきた。
4.一人暮らしの高齢者に必要なサービスや支援には、きめ細かさが必要で、たとえば、①体の不自由な人には→介護、介助、見守り、②健康で元気にシニアには→見守り。
5.これまで、高齢者の見守りというと、①象印がやっているような、ポットの利用状況で高齢者の動向を探るもの(個対個)、②行政担当者や民生委員などが巡視するもの(義務)が中心であった。
6.昔はあった「まち機能」(個対社会)に若者を巻き込むにはどうしたらよいか→ICTを活用した(ICT活用でないとできない)コミュニケーション型の見守りシステム=とくったーと考えた。
そこで、改めて考えたところ、「元気な暮らしづくり」ってなんだろう!?
1.楽し良い毎日
2.病気があっても健康でイキイキした自分づくり
3.社会への参加(新しい出会いと拡大するつながり)
これを可能にするには、①地域の知人/友達、②おせっかいなご近所さん、③家族よりも家族らしい(ネットを介した)仲間の存在
とくったーを利用し、徳島市内の商店主、一般住民などのボランティア、一人暮らしの高齢者がゆるやかなつながりで平素対話したり、情報共有したり、伝える力を鍛えることで、「老いも、若きも、住民も、商店主も、魅力があって楽しそうな地域になるのではないか」と考えた。
身の回りの些細なことでも発信すると、誰かが返事をしてくれる、そのやりとりから達成感や安心感を得ることができ、コミュニティへの帰属感ができる。こうした横丁機能を活用して、地域の皆で楽しく暮らしやすいコミュニティを作っていく。
これがとくったーによる理想の姿だ。
とくったーの場合には、iPhoneのアプリは大学生が開発し、彼らにとっては、実際の開発仕事は、大いなる勉強になったようだ。
この事業自体は、「総務省ICTふるさと元気事業」による補助事業(交付決定状況はこちら)である。とくったーの場合には4000万円の予算でやっている。この事業自体は1年であり、その後は、それぞれの実施主体の判断にゆだねられている。
現在、とくったーで使っているiPhone100台は、借り物であり、電話が掛けられない、データ通信だけの定額制でないと予算が決められないからだ。今後、この事業を続けるなら、各自で購入(通信契約)することになる。各自にも費用負担が発生するが、それでも、皆が参加するだろうか。この事業自体の収益モデルをどうするのか。
とくったーが発見したことは、多い。
1.高齢者でも、面白ければICTを利用する。
2.形式ばった巡回などの見守りではなく、参加することで皆が元気であることが分かる仕組みづくりこそ大切。
3.交流が始まれば、空き店舗での寄席など、商店街に皆が来てくれるさまざまなコンテンツも生まれる。
これを次にどう実世界につなげていくかが課題だ。
吉田先生の講演資料の最期には、「とくった事業を持続させるための空き店舗活用型のソーシャルビジネス創出実験」というページがある。
学生ベンチャーによるiPhoneアプリ屋、生ちゅう放送局、歩いて健康屋(双六遍歴)など。これからの展開に注目していきたい。
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