エコノミックガーデニング
山本尚史先生の『エコノミックガーデニング』を読んだ。
安易に企業誘致するのではなく、地域の企業を育てて雇用を拡大するという考え方で、とても良いと思った。米国コロラド州リトルトン市では、この考え方で、成功し、1990年から2005年までに雇用数が136%増加、売上税収は、680万ドルから1960万ドルに増加したという。
しかし、非常に抽象的に書かれているので(『アメリカ中小企業白書2006』からの引用)、今ひとつはっきりしない。「ガゼル」(生きの良い企業の意味と思う)に注目し、こうした企業が成長しやすいよう環境を整えたとある。
これを実行したクリスチャン・ギボンズ(以下クリス)は、山本先生の本にも序文を寄せている。
彼は、『白書』では(地域社会の風土に関する)認識のすべてが、あらゆる生物と同様に有機的な事業体として企業家風土を理解する上で役だった。「企業が活躍でいる環境づくりの複雑で生物学的な相関的要因、すなわち知的な刺激、新しいアイデアに対する受容性、ベンチャーキャピタルや大学の支援基盤、情報、地域支援」にもっと注意が払われる必要があった」としている。
山本先生の本では、第3章で、エコノミックガーデニングの各種ツールを示している。①さまざまなデータベース、②地理情報システム(GIS)、③インターネット(特に検索エンジン)の活用、さらに、ブログやユーチューブなどの新規メディアの活用。
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西東京市を念頭に置いて、この手法を適用しようとすると、(地元の八百屋さんなどが目に浮かび)少々戸惑いがある。
1.果たして「ガゼル」はいるのだろうか。
今居ないように見えているだけで、実は、潜在的に居て、相談窓口などが出来れば、ガゼル候補が現れるのかもしれない。
ビジネス支援図書館の本で、確か、ゼロックスなども図書館で本を読むなかでアイデアが浮かんだとあった。そうしたアイデアの段階でもやる気のある起業家が居て、窓口が、マーケティング情報を整理してあげたり、必要な人材・企業を紹介してあげれば、軌道に乗り出す可能性がないわけではない。
それとも、一見ガゼルとは思えない地元の企業に聞き取り調査をすると、実は、こういう情報や支援があったら、もっと事業を拡大したと思っている経営者もいるのかもしれない。
2.クリスさんは行政マンだが、静岡の小出さんのようなきめ細かい企業支援をしている人はいろいろな地域におられる。レファレンス程度のことでよいのだろうか、それとも、小出さんがやっているように、もっと具体的な支援レベルが要求されるのだろうか。
3.GIS情報をマーケティングに活用することや、インターネット検索エンジンの上位になるようにするなどは、すでに、市場でいろいろなサービスがある。これを公的にどう活用するかの仕組みさえあれば、やれなくはないだろう。
大学でさまざまなデータベースを契約しているように、自治体や図書館がさまざまなデータベースを契約し、それを活用してくれる中間的な人をおけばやれなくはない。
4.クリスさんが『白書』で言っていることは、堂野さんの本にあるように岩手のINSや関西のKNSのように、平等の立場で多様な人たち(産官学民)が出会える場を用意し、そこから何が生まれるかは分からないが、何か創発するかもしれない・・という場を作ることを言っているのではないだろうか。
これを、西東京市でやれるのだろうか?
ヘンに身構える(札幌などの産学官連携をイメージして、高度で新規の製品づくりなどを考えてしまう)のがいけないのかもしれない。農業も含め、西東京らしいガゼルの平等な交流の場やつなげることは、可能かもしれない。
バスーラプロジェクトで、イタリア料理屋と障害者のたなし工房がつながって、もしかしたら、クリスマス商戦で大化けするかもしれないというように、何か違う切り口や出会いを見つけるべきなのかもしれない。
「初音ミク」現象を起せばよいのかもしれない。
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